元のスレッド

スクールランブルIf06【脳内補完】

1 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:08 ID:5FOVs7y2
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週7ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫

SS保管庫
http://www13.ocn.ne.jp/~reason/

【過去スレ】
スクールランブルIf05【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1076661969/l50
スクールランブルIf04【脳内補完】(スレスト)
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1076127601/
もっともっとスクラン奈良萌えスレッド
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1074117388/l50
もっとスクールランブルの奈良くん萌えスレッド
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1072536035/
スクールランブルの奈良くん萌えスレッド
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1060335566/

関連スレ(21歳未満立ち入り禁止)
スクールランブル@エロパロ板2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077723024/l50

2 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:09 ID:5FOVs7y2
【荒らし行為について】

“完全放置”で
よろしく頼(よろ)んだぜ

■ 削除ガイドライン
http://www.2ch.net/guide/adv.html#saku_guide
3 名前: スージークワトロ [sage] 投稿日: 04/02/13 17:48 ID

3 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:17 ID:aj6U1OrQ
>>1乙カレリン

スレ立て人が前スレもハモリストっぽかった気がする

4 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:22 ID:YQ5.p6rQ
>>1 乙ー。
しかし、気がついたら随分と進んでたんだね、前スレ。
今スレもまあ、ぼちぼちのんびり行きますか……

5 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:33 ID:0m39W6A6
なんでスクランのスレがこの板に・・・と思っていたら前スレもこの板にあったのかよ

6 名前:Classical名無しさん :04/03/10 00:35 ID:KE6l.l.U
>>1
おつです。
またーりいきましょう。

7 名前:1 :04/03/10 00:39 ID:5FOVs7y2
>>2でコピペにミスった..._| ̄|○
旅に出ます 探さないでください

8 名前:Classical名無しさん :04/03/10 01:01 ID:rEVxaOfA
test

9 名前:Classical名無しさん :04/03/10 15:31 ID:rDeef1V6
>>1
乙です。
楽しく行きましょ〜(^^)

10 名前:Classical名無しさん :04/03/10 19:34 ID:9JzQ69yQ
>>1
乙ー。
またーりね

11 名前:Classical名無しさん :04/03/10 19:50 ID:jgHs6WBQ
>>1
乙かれん。
ちょっと見てない間にもう次スレですか。
あの動乱期を乗り越えて、職人の皆様方よく頑張った。


12 名前:Classical名無しさん :04/03/10 20:24 ID:gc1KJnaM
>1
乙かれん。

>11
しみじみ同意。
ところで前スレ、じつはむちゃくちゃ神がかってたような気がしたのは漏れだけか。
ラストのサブキャラSS連発には正直降参した。

13 名前:Classical名無しさん :04/03/10 23:42 ID:pjPuGWgI
ラウンジにしてほんと良かったな・・・
一時はもうSSが読めなくなるかと思ったくらいだしな
職人の方々にはほんと感謝してます

14 名前:Classical名無しさん :04/03/12 00:46 ID:KE6l.l.U
久々に書き込んでみるテスト。
14日までにちゃんとSS書き上がるかなぁ……。

15 名前:Classical名無しさん :04/03/12 02:14 ID:a84a2pS6
あの激動の時代を経て戻ってきてくれたSS職人さん達に
大きく感謝したい。

16 名前:Classical名無しさん :04/03/12 02:49 ID:MeLhjbkk
ハリーとプリキュア似の2人組のSS書こうとしたけど挫折しました、
やっぱ凄いねここのSS職人、モブであんなに書けるなんて
俺には無理だ。

17 名前:Classical名無しさん :04/03/12 07:50 ID:uIrXdq.M
>>14
ここにもホワイトデーを狙う輩が一人…
新スレの施行式は14日になりそうな予感。
各々方、刮目して待て!


18 名前:Classical名無しさん :04/03/12 22:49 ID:v7IgLZkk
いつもの分析ネタやる人いなくなったのかな

19 名前:Classical名無しさん :04/03/12 23:01 ID:KE6l.l.U
分校から飛べるページでやってますよ。
直リンはできないので、行き方だけ。
過去絵置き場→どうでもいい近況報告→俺とスクラン→BBS


20 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:23 ID:nbmiPoNA
ある日の夜−−−工具楽我聞と沢近愛理は沢近が通っている学校の教室の中に
いた。周囲には誰もいなく、シーンとしている。
「・・・君を守ってあげたい」
沢近はほんの僅か、泣いていた。
「だから、オレはこうして、ここに来たんだ。沢近さんにオレの気持ちを伝えたかったから」
「工具楽くん・・・・・」
工具楽のその言葉に、沢近はどこか落ち着かない様子で目を伏せた。泳ぐように視線を
逃がす。
−−−緊張してるんだな・・・・・
何処となく、そわそわしている。いや、困惑といってもいいかも知れない。そんな沢近の
純朴さが、工具楽にはたまらなく愛おしかった。
「あっ・・・・・」
−−−大丈夫だから・・・・・
そんな気持ちを伝えるために。工具楽はそっと沢近の涙を拭い、その身体を引き寄せて
抱きしめた。僅かに触れる、決して大きいとはいえない二つの柔らかな膨らみから、
沢近の鼓動を感じる。
「・・・・・好きだよ」
ゆっくりと身を離し、吐息を微かに感じるだけの距離になったとき、工具楽は沢近を
見つめて囁いた。すると、沢近も工具楽の目を見つめ、そっと瞼を閉じた。
工具楽は一つ息を飲むと、ゆっくりとその唇を奪っていく。
・・・・・唇を重ねる、ただそれだけのキス。それは、工具楽が何を選んだのかというキスで
あり、同時に、沢近の答えでもあった。

21 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:26 ID:nbmiPoNA
「ん・・・・・・っ」
・・・・・・
工具楽たちは互いの温もりを感じながら、長い長いキスを続けた。
・・・・・やがて、どちらからともなく、唇が離れていく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しい」
「えっ?」
「・・・・・嬉しい・・・・・・」
沢近は一度身体を離すと、赤く染まった表情でジッと工具楽を見つめる。その表情から
は、さっきまでの緊張が消えていた。
「本当のこと言ったら絶対に嫌われると思ってたくせに、どこかでこうなれたらいいなとも
思ってて・・・だから、今すごく嬉しいの」
身も心も預けるような、沢近の告白。その瞳には、もう陰りも偽りもなかった。
だからこそ、工具楽も思える。
−−−好きだ・・・・・
気持ちを確信した工具楽は、再び沢近と唇を重ねた。だが、今度は唇だけにはとどまら
ない。そのまま、しっとりと紅潮した頬へと、ゆっくり唇を這わせていく。
「あん・・・・・っ」
軽い呻き声をあげるだけで拒まない沢近に、工具楽は、更に頚動脈に沿って唇を降下
させる。その肌は、柔らかく、僅かに汗ばんでいた。白く、細い首筋。ほのかに香る、
沢近のにおい。
・・・・・・自制するよりも早く、工具楽の手は沢近へと伸びた。
「あっ・・・・・・」
ファスナーを引き下ろし、肩口に指を差し込んだ。沢近の服が重力に負け、数センチ
沈む。
「・・・・・・・んぁ・・・・・・」
「可愛いよ、沢近さん」
工具楽が優しく囁いた。沢近の特に感じる場所を捜しながら、工具楽の舌は沢近の身体
を這い回る。沢近は、恥ずかしさと気持ちよさで、顔を真っ赤にしていた。

22 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:27 ID:nbmiPoNA
「・・・・・・・・・ま、待って・・・・・・・」
不思議な感覚に戸惑うように、沢近が身体をよじる。
「・・・・わ、私にもさせてくれる?好きな人には、してあげたいの・・・・」
沢近は自分のスカートをつまみ、少しだけ引き下げる。たったそれだけのことで、沢近の
服は床に落ちた。
「あ・・・・」
突然現れた沢近の下着姿に、工具楽は目を奪われた。
−−−なんて・・・・・・・
なんて可愛いくて、そして・・・・・工具楽は、暫くその姿に見惚れていた。その隙に、沢近は
かがみ込み、工具楽の腰へと手を伸ばしていた。気づくと、ズボンのボタンが外されて
いる。
−−−えっ?
工具楽が驚き、戸惑った瞬間、沢近は幸せそうに上目遣いに工具楽の顔を見た後、
細くひんやりとした指で工具楽のモノを包み込む。
−−−ちょっ!
工具楽は、驚いて腰を引こうとした。その瞬間、
「きゃっ!?」
握ったその手の中で、工具楽のモノが激しく反応したからだろう。沢近は小さな悲鳴を
上げると、慌てて手を離した。工具楽はそんな沢近の反応に微笑ましいものを感じ・・・・・
でも、その無邪気さが生み出す淫靡な仕草に、どうしようもない興奮を覚え始めていた。
「ご、ごめんなさい」
慌てて、沢近は再び工具楽の腰に手を伸ばす。だが、その手つきはさっきとは微妙に
違っていた。
−−−指が、熱い・・・・・
オズオズと絡みついてくる沢近の指が、どこか熱を帯びているような気がする。指がそっ
と工具楽を包み込むと、ゆっくりと動き出した。沢近も興奮しているのか・・・・・
やがて、それは手の動きからはっきりと伝わってきた。最初はゆっくりだったが、工具楽
のモノがそそり立つのにつれて、動きを早めていく。
「き、気持ちいい?」
尋ねる呼気が熱く触れる。やがて完全に大きくなったモノをしごきながら、好奇心と羞恥
心が入り交じった声で、沢近が聞いてきた。沢近の上気していた顔が更に赤くなっている
のが、まるで手に取るように判った。

23 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:28 ID:nbmiPoNA
「うん、気持ちいい・・・・・・」
工具楽がそっと答えた。そんな工具楽の言葉に気を良くしたのか、沢近は工具楽の腰に
ゆっくりと顔を近づけ、口の中へ導こうとする。
「あ、汗臭いから・・・・そこまでは、しなくてもいいよ」
「大丈夫よ。私、工具楽くんを感じられて嬉しいんだから」
・・・・・少しは、無理しているのかも知れない。だが、それをはるかに上回る気持ちが、
沢近を突き動かしているのだろう。
−−−そんなに・・・・・・
沢近は少し躊躇うように、先端に舌を這わせた。
「それに・・・・さっきから私も、すごくドキドキしてて・・・・・・」
そして、先端を舐め終わった後。工具楽を温かい口の中へと徐々に飲み込んでいく。
「あ、沢近さん・・・・・・」
熱を帯びた沢近の口が、そっと工具楽を包み込む。あどけない口を大きく開き、必死に
全てを咥え込もうとする。そのくせ視線はどこか虚ろで、それがかえって妖しい雰囲気を
醸し出していた。
「はぁ・・・・・・・あぐっ・・・・・」
少しずつ少しずつ・・・・・・沢近は確かめるように工具楽を口の中に出し入れした。
その度に、次第に深くまで呑み込まれていく。
−−−気持ち、いい・・・・・・
粘りを伴ったその熱さが、工具楽の理性を少しずつ削り取っていった。
「・・・・・・んぐ・・・・・・ぁ・・・・・」
やがて・・・・・沢近は、全てを包み込んだ。限界まで頬張り、沢近の口が膨らむ。けれど、
決して離そうとはしなかった。
「むぐ・・・・・・・ぁん・・・・・・・んん・・・・・」
押し殺された声があがるたびに、沢近の熱さが伝わってくる。舌が、その中で工具楽を
舐め回す。その動きはぎこちなかったが、確実に工具楽のモノを刺激していた。
「んぁ・・・・・・・・あぁ・・・・・・・・・・・あんん・・・・・」
・・・・・喉の奥から、卑猥な音が部屋に響く。口から溢れた唾液が、一筋、沢近の顎に
跡を残して滴り落ちた。

24 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:29 ID:nbmiPoNA
「・・・・・んくっ・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・・・ぁんん・・・・・・」
息苦しくなったのか、一度口を離し、咥え直そうとする沢近。その瞬間、添え直した沢近の
手が不意に袋へ触れた。
それと同時に、ムズムズとした新たな快感が工具楽の腰一杯に広がっていく。
「ここも、気持ちいいの・・・・・?」
工具楽の反応を察した沢近が、左手の手のひら全体で玉を包み込むように握る。
「う、うん・・・・・まあ、その・・・・・・」
沢近が指をぎこちなく動かし続けると、ムズムズともどかしかった快感がハッキリしてくる。
それは、まるでお手玉で遊ぶ子供のような、無邪気な手つきだった。もっとも、無邪気な
のは一瞬だった。工具楽が感じたのを見て取ると、沢近はやがてそこにまで舌を伸ばし
た。
「ひゃっ!」
皺を伸ばすかのように、丹念に舐めていく。積極的なその動きは、健気でもあり、また
淫猥さも兼ね備えていた。
「沢近さん、あのね・・・・・」
工具楽は、次第に腰に集まってくる、熱い感覚をこらえようとした。じっと腰をとどめて
いるのが辛い。
「も、もうそろそろ・・・・・・」
工具楽は、沢近にその位で終わりにしてもらおうとした。

25 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:30 ID:nbmiPoNA
−−−今度は沢近さんを・・・・・・・
だが、沢近は、違う意味に受け取った。工具楽を見上げ、にっこりと微笑むと、もう一度、
はちきれんばかりになっていた工具楽を口に含んでいく。
「だ、駄目だって!」
工具楽が、思わず叫んだ。だが沢近は構わず、口を動かす。含みきれない部分には
手を添えて、沢近は激しい勢いで工具楽を責め立てた。
「もう、だから、お願いだって・・・・・」
−−−腰が・・・・・・
思わず、腰が動き出す。沢近は、激しい動きに唾液が垂れるのも構わずに頬張り続け
た。
「駄目、汚しちゃう・・・・」
工具楽は、無意識のうちに沢近の髪を掴んでいた。沢近の顔を押さえつけて。・・・・・
腰をひねるようにその口の中に送り込む。
「ん・・・・・・・・・・・・・・んん・・・・・・・んぁ・・・・んぅ、可愛い・・・・んんん・・・・・」
沢近は、銜えたまま、チラッと工具楽を見上げた。顔を押さえられ、乱暴に出し入れ
されているのにも関わらず・・・・・・濡れた瞳で、工具楽の表情を伺う。
−−−さ、沢近さん・・・・・・・
その表情を見た瞬間、ゾクゾクとした激しい感覚が、工具楽の背中を駆け抜けていく。
−−−だ、駄目だ、もう・・・・・
そう、最後に感じた瞬間・・・・・・
「アアッッ・・・・・」
工具楽は、沢近の口の中に、思い切り放ってしまう。
「クッ・・・・・アッ・・・・・」
・・・・・・・やがて、ガクガクと動いていた腰が、動きを止め。
ハァ・・・・・・・・・工具楽は、大きく息を吐いた。だが、それでも沢近は口を離そうとは
しなかった。
「さ、沢近さん・・・・・」
工具楽はそのとき、ようやく自分がしたことの意味に気づいた。
「ご、ごめん・・・・・」

26 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:31 ID:nbmiPoNA
沢近は、やがて口をすぼめ、ゆっくりと離れる。
「我慢、出来なくて」
沢近は、口を閉じたまま・・・・・工具楽を見上げて、優しく微笑んだ。
それから・・・・・意を決したように目を閉じると、小さく喉を鳴らす。ゴクッ・・・・・
・・・・・しばらくして、沢近は、そっと瞼を開いた。
「沢近さん・・・・」
「好きよ」
工具楽が見つめる前で、沢近が、はっきりと呟いた。
工具楽は、沢近をそっと背中から抱えるように抱きしめた。
「さっきのお返しをしてあげるな」
工具楽は、耳元でそう呟くと、戸惑うひまも与えずに、左手をショーツの内側へと潜り
込ませた。
「あ・・・・・・・・」
・・・・熱い。そこは、工具楽の想像を遥かに上回る熱さを発していた。
「や、やめて・・・・恥ずかしい・・・」
沢近が顔を赤らめ、羞恥に身を捩った。
「さっきのお礼、って言っただろ」
「お、お礼・・・・・・・・って?」
「今度は、沢近さんの番」
耳元で囁きつつ、指先に力を込める。小さな繁みをかき分け、奥へと潜り込むと・・・・
小さな小さな突起に、指が触れた。
「・・・・・きゃん!」
可愛い声が、闇夜に弾む。工具楽は、小さな突起をそっと撫でた。幾度も、幾度も。
その度に、ビクッ、と沢近の身体が揺れる。
やがて、沢近は両手で工具楽の左手を掴んだ。
「だ、だめよ・・・・そんな・・・・・・あっ!」
ひとまず、左手はそのままにして、残った右手を胸に這わせた。包み込むようにすると
手の平の中心に堅い手応えがある。柔らかくも抵抗感のあるそれは、触れているだけで
も気持ちがよかった。指先で優しく転がす。
「はぁ・・・・・・・・・・ん・・・・・・・」
幼くも艶やかな声。沢近がその感覚に酔っている隙に、工具楽の左手は、突起を越え
た。

27 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:32 ID:nbmiPoNA
−−−湿っている・・・・・
「・・・・・・ぁ・・・・・んん!」
「平気、だよね?」
工具楽が耳元で囁いた。
「わ・・・・判らない。恥ずかしくて、苦しくて・・・・・・・・でも」
工具楽の左手を握りしめた指に力を込めながら、沢近がかすれた声で呟いた。
「・・・・・・・・・でも・・・・・・・体中が熱くて・・・・頭が、ふわふわしてて・・・・はぁ・・・・ん・・・」
「もっと、力を抜いていいよ・・・・」
「あぁ・・・・・・ん・・・・・く、工具楽く・・・・ん・・・・」
工具楽の言葉に従うように、こわばっていた沢近の身体からほんの少しだけ力が抜けた。
と同時に、工具楽の指があっさりと沢近の中へと沈んだ。
「はぁん!」
第一関節までだったけど、間違いなく沢近は、工具楽を受け入れてくれた。そして・・・・・
少なからず、感じていてくれていた。その荒い呼吸は、苦しさや羞恥だけとは思えなかっ
た。
「あぁ・・・・・そ、んな・・・・・はぁ・・・・・あぁん・・・・・・」
馴染みのない刺激に押し流されてる沢近。肌を桜色に染め、たまらずに身震いを続ける
小さな身体。柔らかな弾力と、鼻先をかすめるシャンプーの香り。
−−−その全てが、どこまでも愛おしかった。
「・・・・大好きだよ・・・・」
ともすれば暴走しそうな衝動を必死に押さえながら、工具楽は沢近を強く強く抱きしめた。
「あっ・・・」
小柄な身体を、教室の机にそっと横たえさせた。
「ここなら・・・・大丈夫かな?」
縁に引っ掛かるようにして、沢近の身体が机の上に乗った。
「ん・・・・・・んん・・・・・」
沢近の脇に手をつく。
「シャツ、もっとちゃんと敷いた方がいいね」
申し訳程度に敷かれたシャツに目をやった。広げれば、もう少しはマシになるだろう。
「いいえ、平気よ。これくらいなら」
「で、でもさ・・・・・」
「・・・・その分、工具楽くんが暖めて・・・・」

28 名前:おびた :04/03/12 23:33 ID:1mrurvJU
乙カレ

29 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:33 ID:nbmiPoNA
甘えるように、潤んだ瞳を浮かべる沢近。工具楽は胸の奥から、愛おしさが尽きること
なくわき上がってくるのを感じた。仰向けになった沢近に覆い被さるように自分の身体を
重ねた。そして、しっかりと抱きしめる。
「工具楽くん・・・・・」
耳元で、沢近の声が聞こえる。
「・・・・私、本当に嬉しい」
「オレも嬉しいよ」
「本当?」
「沢近さんに嘘なんか言わないよ」
「・・・・嬉しい」
今一度、互いの感情を確認し合うようにキスを交わす。同時に工具楽は沢近の薄い
茂みに手を伸ばしていた。その奥は、既に液体でしっとりと濡れている。
「キャッ!」
いきなり触れられると思わなかったのか、小さく沢近の声が漏れる。しっとりと濡れた
その部分を何度も何度も触れると、その奥は徐々に液体で満たされていった。
「・・・・・・・・・・ん・・・・・ぁ・・・・」
真っ赤な顔でジッと耐えるような表情を浮かべる沢近。そして工具楽は、最後までそんな
沢近を求めた。工具楽が沢近の透明な液体で満たされた部分に中指の先を入れる。
「ぁん、そんな・・・・恥ずか・・・・・しい」
「可愛いよ、沢近さん」
「そ、そんなこと・・・・・・あぁん・・・・・・」
小声で囁きながら、指先の手応えを確かめる。そこは、奥深くまでしっとりとした熱さを
放っていた。
「あぁ・・・・・・・・・ぁん・・・・・・はぁん!」
その感触が指を伝わるだけで、工具楽の我慢は限界だった。出来る限り優しく、しかし
急ぐように、自分の腰を沢近の中心にあてがった。
「大丈夫・・・・・」
沢近は真っ赤な顔をしてうなずいた。工具楽は沢近の腰に手を添えて、ゆっくりとその
身体を抱きしめるように引き寄せた。瞬間、工具楽は何かを突破した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」
沢近が、言葉にならない声を上げた。少しでも痛みから逃れるように机に爪を立てる。
工具楽は、そんな沢近の姿に戸惑いを隠せなかった。

30 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:36 ID:nbmiPoNA
「さ、沢近さん・・・・」
身体を動かさないように注意しながら、瞳をそっとのぞき込む。堅く閉じられた瞼には
涙がにじんでいた。
「くぅっ・・・・・・・ふぅっ・・・・・」
襲ってくる痛みに顔を歪める沢近。うっすらと開けた眼差しは、潤みながらも工具楽を
射抜く。
「痛いなら・・・・」
工具楽が、思わず身を堅くした。
「無理することなんかないよ」
「へ、平気・・・よ。工具楽くん、私・・・大丈夫、だから・・・」
浮かんだ涙が、沢近の頬を伝わっていく。
「・・・起こしてもらえる?」
−−−えっ?
「・・・・お、起こすって?」
「く・・・・・工具楽くんに・・・・下になって、欲しいの」
「そ、それって・・・」
そ、それはその・・・・
「だめ、かしら?」
「だ、だめってことはないけど・・・・」
刺激的な光景を想像してしまい、工具楽一人がうろたえてしまう。
「・・・・でも、どうして?」
「そ、その・・・・ちょっとだけ、痛いの。でも・・・上になれれば、多少少しは・・・楽かなって」
言葉を探し、たどたどしく呟く。
「それに、その・・・ちゃんと、して欲しいの。痛いくらいでできないなんて嫌なの」
くぐもった、嗚咽混じりの声。
「嬉しかったから・・・・く、工具楽くんの気持ちが、本当に嬉しかったの・・・」
切れ切れになる言葉は、おそらく痛みのせいだろう。
「沢近さん・・・・・・・・・・・・」
「それに・・・・工具楽くんの顔、もっとちゃんと見たいの」
それでも沢近は、まっすぐに工具楽を見た。
「見せて・・・・もらえないかしら?」
沢近は、必死に工具楽を望んだ。やめてとはいわずに、繋がる道を選んでくれた。

31 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:36 ID:nbmiPoNA
−−−・・・そんなにも、オレのことを・・・・
工具楽の胸に、暖かいものがじわりと広がっていく。
「・・・・・うん、判った」
優しく答え、そっと沢近の身体を抱き抱えた。そのまま工具楽は、床を背に横になる。
背中に走るはずの冷たさは、ほとんど感じなかった。
むしろ、胸の奥から溢れ出る熱が、工具楽の身も心も焦がしていた。
「・・・・・・んぁ・・・・」
「大丈夫?」
体重を少しずつ腰へと預ける。その動きに従って沢近の身体が徐々に沈み込み始めた。
「無理しないでいいからな」
「ううん・・・へ、平気よ。ちょっと、驚いちゃっただけで・・・」
沢近は痛みをこらえながら、精一杯の微笑みを工具楽の上で浮かべていた。
「うん・・・・」
多くは語らずに、工具楽は優しく腰を動かし始めた。沢近の腰に手を回し、その小柄な
身体を出来るかぎり支える。少しでも、沢近の負担を減らすために。
「・・・・ひゃ・・・・あぁん・・・・・」
その痛みで表情こそ歪むが、沢近は工具楽が気にしないようにと必死で声を押し殺した。
沢近の身体は、工具楽の進入を拒むようにキツく、そして熱かった。工具楽が腰を動かす
度に、沢近の肌が微かに波打ち、頭上で胸が可愛らしく揺れた。
「ふぁ・・・・あぁ・・・・・あん・・・・」
「ん・・・・・んん・・・・」
初めて味わう女の子の暖かさに、文字通り工具楽は我を忘れかけた。刺激を求めて、
自分の腰が暴れそうになるのを、必死で押しとどめる。
−−−沢近さんのおかげかな。
沢近さんのおかげで・・・オレはこうして沢近さんと慈しみながらつながることが出来るの
かもしれないな。

32 名前:おびた :04/03/12 23:36 ID:1mrurvJU
乙カレ


33 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:37 ID:nbmiPoNA
「・・・・・あ・・・・・あぁ・・・・・ふぁ・・・・・あふぅ・・・・」
かき消えそうな沢近の声が、教室に広がっていく。
「はぁ、はぁ・・・・・さ・・・・・沢近・・・さん」
「んぁ・・・・く、工具楽くん・・・わた、私・・・・んくっ・・・・も、もう・・・・ひゃん!あぁ!んあぁ!」
工具楽の動きに合わせるように。そして時には逃げるように。沢近の身体も激しく揺れた。
その度に沢近が工具楽を激しく締め付け、未知の感触が工具楽を包み込む。
「・・・・きよ・・・私、本当に・・・・・」
頭上から・・・・・嗚咽の混じった声が、工具楽に降り注ぐ。
「んぁ・・・・私、はぁぁ・・・・本当に好きなの・・・・・ん、んんん・・・・」
「・・・・オレもだよ、沢近さん」
「好き・・・よ・・・・大好き・・・・んぁぁ!」
沢近の身体が、弓のように大きく反る。その動きが、更に工具楽自身を激しく締め付けた。
「沢近さん・・・ッ!」
「・・・・・く、工具楽くん・・・・ッ!」
確かめ合うように、互いの名前が教室に響き渡る。
・・・・・・・
沢近の身体が、痙攣のように小刻みに震わせる。その刺激が、工具楽の限界を一気に
近づけた。
「・・・・・ん!んぁ!んぁぁ!」
「はぁ・・・・はぁ・・・・も、もう、オレ・・・」
「はぁん!・・・・も、もう、だ・・・・め・・・・あぁん・・・あふ・・・・あはんっ!あぁん!あぁぁん!」
もう一度、沢近が大きく震えた。それが、工具楽の臨界点を打ち破った。

34 名前:甘味の夜(我聞×沢近) :04/03/12 23:37 ID:nbmiPoNA
「・・・・あっ!」
「ひゃん!」
臨界を感じると同時に、工具楽は熱く濡れたそれを沢近からなんとか引き抜く。しかし、
その刺激が互いの決定打になった。
「ん・・・・・んくっ!」
「あぁんっ、んあぁぁぁ!」
全身が痺れたように、沢近の身体が堅くこわばった。決定的な一線が、沢近の、そして
工具楽の中で弾けた。
「・・・・・あぁ・・・・ぁ・・・・」
だらしなく開かれた口元から歓喜の余韻がこぼれる。沢近はその身を小さく震わせながら
刺激の残滓に浸っていた。
「・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・ぁん・・・・」
互いの肌の熱さを感じながら、2人はギュッと堅く抱きしめ合う。−完−

35 名前:おびた :04/03/12 23:39 ID:1mrurvJU
お疲れ

36 名前:Classical名無しさん :04/03/12 23:39 ID:gAd/ynn6
なんだかNA

37 名前:Classical名無しさん :04/03/13 02:56 ID:sceipWOM
SS管理人様、
上のは保存しなくて良いからね、

てか、保存しないでください。

38 名前:Classical名無しさん :04/03/13 08:25 ID:sRH5raw6
>>37
何で?文章も上手いし内容もいいと思うのだが・・・。
まあ他作品のキャラクタとの絡みが気に入らないと
いうのは分かるのだが。

39 名前:Classical名無しさん :04/03/13 09:09 ID:M3hJQjRI
>>38
マジレスするなら、まず板違い。
内容的に明らかにエロパロスレ。

次にオーバークロス作品のつもりかもしれないが
登場キャラの名前を変えても全く違和感がない。
つまりSSとして既に破綻している。
また、この話の前後も投げっぱなしで、一体どういう経緯なのかさっぱり分からない。

設定も所々おかしい。
特に
>決して大きいとはいえない二つの柔らかな膨らみ
これでは沢近が貧乳のようだ。

文章は確かに下手じゃない、エロとしての内容も悪くない。

だがこのスレでは両作品に対する冒涜としか見られない。
本当に両作品が好きならば、このスレではなくエロパロの該当スレへ移ってやるべきだ。


40 名前:Classical名無しさん :04/03/13 11:27 ID:sceipWOM
>>38
それはね、こいつがただの荒しだから。
しかもいろんなスクランスレにマルチポストしてるから

41 名前:Classical名無しさん :04/03/13 13:16 ID:Y5KYr/pA
>33-34のSSはあえて沢近である必要性がまったく無いような気がする。

普通のエロ小説の登場人物の名前を沢近と入れ替えただけっぽい。


42 名前:Classical名無しさん :04/03/13 17:02 ID:U8.Oa2E.
>>40
前スレで彼のIDを見てみな
荒らしはスルー汁

43 名前:Classical名無しさん :04/03/13 22:21 ID:SNYWEElM
つーか読んでるのかおまえらw

44 名前:Classical名無しさん :04/03/13 22:34 ID:jsPSiJtE
>>42-43
IDカコイイな

正直NGワードに引っ掛かって透明あぼーんされてるんで読んでない。
つーかNGに掛かるようなSSは読みたくない。

45 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:20 ID:KE6l.l.U
「……ところで拳児君」
食事を取り終えた刑部絃子が、台所の播磨拳児に声をかけた。
「あ?何だイトコ」
「さんをつけろ」
台所から、かちゃかちゃと食器のこすれる音が聞こえてくる。お決まりのやりとりの後、
絃子は思い詰めたように話を切り出した。
「洗い物が終わったら、早急に台所を空けて欲しいのだが」
「はぁ?別に構わねぇけどよ、何すんだ?銃の手入れか何かか?」
「……料理だ」
その瞬間、マンション内に盛大な音が響き渡った。エプロン姿の播磨が、慌てて居間へと
駆け込んでくる。
「どどどどうしたイトコ!?熱でもあんのか!?」
「……君はとことん失礼なヤツだな」
「いや、だって、お前が自分から料理するなんて言い出すわけねーじゃねーか!熱でおかしくなったか、
 さもなきゃ明日日本が沈没するとしか思えねぇ!」
播磨が真剣そのものの表情で力説する。確かに絃子は普段ほとんど料理などすることはない。
しかし、本人にしてみれば腹立だしいことこの上ない言葉である。絃子は深い溜め息をつくと、
無言で愛用のモデルガンを取り出した。
「……ほう、そんなに私が料理するのが珍しいか、そうか」
独り言のように言うと、そのまま安全装置を解除し、引き金に指をかける。般若の表情の絃子を見て、
播磨は思わず後ずさった。
「い、いや、そういうことじゃなくてだ、な?イトコ、だからその銃をイデデデデデデデデ!
 分かった、すまん!頼むからやめてくイデデデデデデデデ!」
「分かればよろしい」
たっぷり一弾倉を撃ち込んだ後、ようやく絃子は引き金から指を離した。播磨は哀れにも
傷だらけで床にうずくまっている。それを見ると絃子はモデルガンを下ろし、誰に言うとでもなく
ぽつりとつぶやいた。
「まったく、どうしてこんなことに……」


46 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:21 ID:KE6l.l.U
事の始まりはちょうど一月前、バレンタインの日だった。
「絃子先生!これ、受け取ってください!」
女子生徒が、満面の笑顔で絃子にチョコレートを差し出す。「またか」と心の中で愚痴をこぼし、
絃子は無表情でそれを受け取った。
「ありがとうございます!ちゃんと食べてくださいね、腕によりをかけましたから!」
そう言うと、女子生徒は元気に職員室を走り去っていった。職員室の外では、順番待ちの生徒が
大挙して絃子の方を見つめている。机に積まれた大量のチョコレートを眺めながら、絃子は
一つ大きな溜め息をついた。
「……これでも私は女なんだがな」
普通バレンタインと言えば、女性が意中の男性にチョコレートを贈る行事である。この場合
絃子が魅力的なのか、はたまたこの高校の男に魅力がないのか。ともあれ朝からのチョコレート攻めで、
絃子は完全に疲れ切っていた。
「毎年恒例とはいえ、刑部先生も大変ですね」
同僚の笹倉葉子が、絃子にねぎらいの言葉をかける。屈託のない笑顔が、絃子には何だか
とても憎らしく感じられた。
「……内心面白がってるくせに」
「何か言いました?」
「い、いや、何でもない」
慌てて絃子は発言を取り消した。下手なことを言って機嫌を損ねたりでもしたら、いったい
どんなことになるかわかったものではない。彼女と旧知の仲である絃子は、それを痛いほど
よく理解していた。
「昔からですよね、こうやって女の子からチョコもらうのも」
「それは忘れて……」
「いいじゃないですか、魅力がある証拠ですもの。はい、私からも」
笹倉が笑顔でチョコレートを差し出す。先程よりも大きな溜め息をつくと、そのまま絃子は
頭を抱えてしまった。


47 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:21 ID:KE6l.l.U
「……あのね、いくら何でも冗談が過ぎるよ」
「あら、私本気ですよ?普段お世話になってる刑部先生に、感謝と愛を込めて」
「……お世話になってるなんて、かけらも思っちゃいないくせに」
「何か言いました?」
「何でもないよ。とにかくそれは受け取れない」
少し乱暴に、絃子はチョコレートを突き返した。予想外の出来事に、笹倉が驚きの表情を
見せる。
「……ひどい。刑部先生のために、一生懸命作ったのに……」
「いや、教師が同僚の、しかも女性からチョコレートをもらうなんて生徒に示しが……」
「言い訳はいいです。刑部先生は私のことが嫌いなんですね……」
笹倉はうっすらと瞳に涙を浮かべ、言葉を詰まらせた。同僚の教師たちが、あっけに取られた様子で
二人を見つめている。さらに悪いことに、騒ぎを聞きつけた生徒たちが続々と職員室の外へ
集まり始めていた。絃子にとっては、非常にまずい状況である。
「わ、わかった!わかったから!」
結局絃子はチョコレートを受け取り、その場ですべてを食べ尽くした。
「……これで満足か?」
「ええ、ありがとうございます」
笹倉が感謝の言葉を述べる。その眩しいくらいの笑顔からは、先程までの悲哀はまったく
感じられない。
「じゃあ刑部先生、お返し楽しみにしてますから」
「ちょ、ちょっと!?」
絃子の叫びを無視し、笹倉が職員室を出て行く。ドアの所で思い出したように振り向くと、
最後に彼女はこう言った。
「そうそう。もし忘れたら、どうなるかわかってますよね?」
「!!」
絃子の表情が恐怖一色に染まる。硬直する絃子を尻目に、そのまま笹倉は笑顔で職員室を
去っていった。


48 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:23 ID:KE6l.l.U
「ったく、何考えてんだあの女は……」
傷だらけの腕をさすりながら、播磨が愚痴をこぼした。数時間ほど前から、絃子は台所に
籠もりっきりである。時々がちゃがちゃと音が聞こえてくるが、播磨のいる居間からでは
その詳細を知る術はない。
「まあ、大丈夫か。なんだかんだ言ってあいつ器用だしな」
播磨の脳裏に、絃子がリンゴの皮を剥いている姿が思い出される。入院という非常事態だったとはいえ、
女らしい一面もあるんだなと感心したものだ。それに加え、以前は家事をすべて一人でこなして
いたという実績もある。例え何を作るにしろ、それなりに上手くやるだろうと播磨は結論を出した。
しかし、
「……何だ、このニオイは」
予想に反して、台所から鼻を突く異臭が漂ってきた。悪い予感を胸に、播磨が台所へと向かう。
「やっぱりか!火ィ止めろ火!」
コンロにかけられた大鍋は、見事に黒煙を上げていた。


49 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:24 ID:KE6l.l.U
「まったく、出来もしねぇことをやるんじゃねぇ」
「……すまん」
「それ以前に、チョコレートを湯せんで溶かすってのは常識だろジョーシキ」
「……申し訳ない」
普段この家において説教をするのは、いつも絃子の方である。しかし今度ばかりは立場が逆転し、
播磨が絃子に説教をすることとなった。
「だいたいわざわざ自分で作らなくても、そこらへんで出来合いのヤツを買ってくればいいじゃねーか」
「いや、今度ばかりはそういうわけにはいかないんだ。頼む!拳児君、誰でもいいからお菓子作りに
長けた友人を紹介してくれ!」
絃子が深々と頭を下げる。鈍感な播磨ではあるが、絃子が何か非常にせっぱ詰まった状況に
あることだけは理解できた。それに、普段虐げられているとはいえたった一人の同居人である。
播磨は仕方なく携帯電話を取りだし、連絡が取れる友人を調べ始めた。
「チッ、んなこと言ったってお菓子が作れるヤツなんざ誰も……」
不安げな表情で播磨が携帯電話を操作する。そして数十秒後、ぴたりと播磨の動きが止まった。
「いた」


50 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:24 ID:KE6l.l.U
「じゃあ、そこで小麦粉を加えてかき混ぜてください」
「ああ、わかった」
言われた通りに絃子が手を動かす。出来上がった生地を冷蔵庫に入れると、絃子は「お菓子作りの先生」に
頭を下げた。
「ありがとう、塚本さん。助かったよ」
「いえ、私でお役に立てるのなら……」
髪を束ねた塚本八雲が、頬をかすかに赤く染める。播磨の言った通り、八雲の腕前は見事な
ものだった。汚れた手を洗いながら、絃子が自嘲気味につぶやく。
「その年で大したものだな。私も見習わなきゃいかん」
「そ、そんな……」
謙遜する八雲に対し、絃子は優しく微笑みかけた。以前絃子は八雲を「今どき珍しい娘」と
表現したことがあるが、どうやらそれは当たっていたらしい。学校における八雲の人気ぶりも、
何だか分かる気がした。
「それにしても、まさか君とはね……」
「え?」
「ああ、何でもない。こちらのことだ」
正直な話、絃子はまさか八雲を紹介されるとは思っていなかった。学校一の不良である播磨が、
学校のアイドルである八雲の電話番号を知っているなどと誰が予想しようか。呼び出すこと自体は
「担任」として絃子が行ったのだが、この事実は少なからず彼女に衝撃を与えた。
「まったく、拳児君も隅に置けないな」
「あ、あの……」
「何でもないよ、気にしないでくれ。さあ、続きをやろうじゃないか」
絃子が冷蔵庫から生地を取り出す。かくして八雲の指導の元、何とか絃子はホワイトデー用の
お菓子を完成させることができた。


51 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:25 ID:KE6l.l.U
「刑部先生、おはようございます」
職員室に到着した絃子に、笹倉が声をかけた。
「じゃあ、約束のものをいただきましょうか」
「分かってるよ。ほら、これ」
少し不満げに、絃子がラッピングされたお菓子を差し出す。笹倉はそれを眺めると、驚いたように
声を上げた。
「わぁ、手作りですね」
「……まったく何が『わぁ』だ。白々しい……」
「何か言いました?」
「何でもないよ、それで満足か?」
「ええ、大満足です」
満面の笑顔で、笹倉はお菓子を受け取った。緊張の糸が途切れたのか、ふっと絃子の表情が緩む。
その時、
「じゃ、私からも」
素早く絃子の死角に回り込むと、そのまま笹倉は絃子の頬に口づけをした。絃子の顔が、
瞬く間に赤一色へと染まってゆく。
「な、な、何をする!」
さすがに今度ばかりは絃子も黙っていない。今までの恨みつらみも重なり、絃子はものすごい勢いで
笹倉に食いかかっていった。
「どうしたんですか?ただのお礼ですよ、お菓子の」
「ふざけるな!ただ単に私をからかって楽しんでるだけだろう!」
「あら、照れなくてもいいじゃないですか。女同士ですし」
「これのどこが照れてるように見える!?」
「ふふ、昔からそういうところは変わらないですね。あの時も……」
「昔の話はいい!頼むから忘れてくれ!」
「そうですか?じゃあ、三日前の中華料理のお店でのことを……」
「だから何でそのことを知ってるんだ!もういい!バレンタインなんかこりごりだ!」
絃子の叫びが朝の職員室へとこだまする。結局絃子には、笹倉の手の平から抜け出すことは
できそうにないのであった。


52 名前:Heavenly kiss :04/03/14 00:26 ID:KE6l.l.U
というわけでホワイトデー記念笹倉先生×絃子先生SSを一つ。
何かもう、趣味丸出しで申し訳ないですm(_ _)m
絃子先生をおもちゃにする笹倉先生というシチュエーションが大好きなんですよ、ええ。
あからさまな百合でなくてもいいから、もう一度この二人の絡みが見たいですね。


53 名前:Classical名無しさん :04/03/14 00:32 ID:b1nSPpE2
ぐっじょ! お疲れ様でした。
笹倉先生が黒い・・・(w
なにげにおにぎりのスパイスまで利かせるとはやりますな。

54 名前:Classical名無しさん :04/03/14 01:36 ID:E.Lq3tww
待っててよかったー!GJです。

今日一日 このスレすごいことになりそうな予感。

55 名前:Classical名無しさん :04/03/14 09:29 ID:MFelw78k
なんか違う

56 名前:Classical名無しさん :04/03/14 13:31 ID:50IFQ5ZU
GJ!普通に面白かったです。けど絃子先生は料理できそうなイメージが

57 名前:Classical名無しさん :04/03/14 18:24 ID:6DSw7u8g
さて>>54の予感は大外れだったわけだが

58 名前:54 :04/03/14 19:31 ID:qU0wDsjc
_| ̄|○


59 名前:Classical名無しさん :04/03/14 22:40 ID:zTo1drnw
いいです。笹倉先生に絃子さんが翻弄されるとは・・・怖い女性です。
お疲れ様でした!Good Job です。

60 名前:Classical名無しさん :04/03/15 00:17 ID:756YOKb.
お疲れさまッス&一番槍おめでとーございます。

程良く黒く、それでいてキュートな笹倉先生、堪能させてもらいました。
取り乱したり、大声を出したり、普段見られない絃子先生の醜態が
面白おかしく描けていて、氏らしい作風に仕上がっていますね。
あと、なによりも播磨が絃子さんを叱っている姿がとても印象深かったです。

さて、こんな文章を書いている時点で>>54すいませんです。
間に合いませんでした。
がんばって今週中には何とかしたいです。はい。

最後に>>52氏、お体の方はもうよろしいのでしょうか?
くれぐれもご自愛くださいな。


61 名前:Classical名無しさん :04/03/15 12:09 ID:/f8PVPv2
「じゃあねー、○○ちゃーん…」
「…あ」
「!!!や、やぁ一条」
「ホワイトデーのお返しですか…今鳥さん結構いろんな方からチョコ貰ってらしたんですね」
「ま、まーね」
「……」
「ヤベエソウイエバコイツニモムリヤリワタサレタンダッタコイツノブンヨウイシテネーヨマズイコロサレル」
「…どうかしましたか今鳥さん?」
「いやいや何でもねーって…はいよこれ一条の分な」
「!!!ありがとうございます!…あ、ごめんなさい何か催促したみたいになってしまって」
「あー、いや別に…」
「いいんですか、こんな立派なの頂いて」
「…そりゃミコチンのために用意したやつだからな(貰ってないけど)」
「?今鳥さん?」
「いやいやだから何でもないって…ほら、何かすごく気合の入ったのくれたからさ」
「……////」
「…あー、だから特に深い意味とかねーからあんま気にしねーでくれよ。んじゃな」
「あ、今鳥さん!…ホントにありがとうございました」
「あ、あぁ…ったく、どうも一条相手だと調子が狂うな…」
(振り返る。満面の笑みで手を振る一条)
「…ってかますますヤバイ状況に追いこまれてないか、オレ?」

おしまい。


62 名前:Classical名無しさん :04/03/15 13:28 ID:YQ5.p6rQ
「さて、今日のホームルームだが――」
 ぐるり、と教室を見回す花井。
 そして。
「都合によりなしだ」
「……は?」
 突然のことに何を言っているのかわからない、という舞を尻目に、では僕はこれで、と教室を出て行こうとする花井。
「ちょっ、待ってよ!」
「すまない、舞君。僕はこれから大事な用事が……」
「ホームルームも大事な仕事でしょっ!」
 困惑から一転、順調に怒りゲージが溜まりつつある舞に、仕方ない、という様子で表情を改める花井。
「今日は何月何日かな?」
「……三月十四日、だけど」
「そう、その通り。そして三月十四日と言えば、だ」
「……ホワイトデー?」
「ということで、だ。僕は今すぐ――」
 と、そこで何かを思い出すように黙り込む。

63 名前:Classical名無しさん :04/03/15 13:28 ID:YQ5.p6rQ
「あの、花井君?」
「いや、すまない。僕としたことがずいぶんと気が動転していたようだ」
「別に、私はわかってくれればいいんだけど……それじゃ」
 始めようか、と言いかけた舞に。
「君の分もちゃんと作ってきたのをすっかり忘れていたよ。受け取ってくれ、舞君」
「そーじゃなく……え?」
 またしても突然のことに思考停止状態の舞に、遠慮することはない、と花井。
「……あ、ありがと」
「うむ!ではいささか遅くなってしまったが、僕は八雲君のところに行かねばならない。後のことはよろしく頼む」
「え、あ、うん……って!」
 我に返っても時既に遅し、花井の姿はとっくに教室の中にはない。
「……」
「あの、舞ちゃん……?」
 心配そうな友人の声に、なんでもないよ、と笑顔で答える舞。その表情が若干引きつっているのは、まあ、なんと言うか。
「はいはい、それじゃぱっぱとやってさっさと終わらせちゃうからね!」
 言いながら、黒板に叩きつけるようにして走らせるチョークが。
 少し、欠けた。

64 名前:Classical名無しさん :04/03/15 13:33 ID:YQ5.p6rQ
私事でしばらく楽隠居でも、とか思ってたんですが。
なんかもう、>>58とか見てしまったら……いやはや。
さて、ここで終わっておくのもいつもみたいにだらだらーっとしなくていいかと
思ったんですが、やはり播磨とか沢近とか播磨とか播磨とか必要デスカ?

65 名前:Classical名無しさん :04/03/15 13:45 ID:00FR857I
要らんと思う

66 名前:  :04/03/15 14:54 ID:En9jNKrU
>>64
沢近とか沢近とか沢近とか播磨はトテモヒツヨウデス
いちさん分(というより今鳥分か)は>>61氏に補給させていただきました

ぜひとも沢近分の補給を

67 名前:Classical名無しさん :04/03/15 17:13 ID:kt8G7n/k
沢近分の補給をおねがいします

68 名前:Classical名無しさん :04/03/15 18:08 ID:I3OjKaF.
沢近分きてほしいワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*

69 名前:Classical名無しさん :04/03/15 20:06 ID:2/xo3W9.
お前ら>>63の「実は舞ちゃんも花井にチョコあげてた」
というシチュエーションに萌えないというのか?


70 名前:Classical名無しさん :04/03/15 21:40 ID:kt8G7n/k
沢近を

71 名前:Classical名無しさん :04/03/15 21:56 ID:7gAG8ilQ
いっちゃあなんですが14日は日曜日だから
ホームルームなどないんですよー

72 名前:Classical名無しさん :04/03/15 23:54 ID:CMr1mFJU
・・・何故スクランの世界が平成十六年と決め付ける?

73 名前:64 :04/03/16 01:42 ID:YQ5.p6rQ
>>67>>70 落ち着け。
>>71 むしろ突っ込むべきは高校生にもなって律儀に普通の日にHRやってるところで……
さて、またいつものように暴走気味になったので、なんか性格がいろいろアレですが。
あと花井と播磨はバトル状態のままだとヤヤコシイので和解状態で。

74 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:44 ID:YQ5.p6rQ
 宣言通り瞬殺された――なら最初から、という話ではあるのだが、そこはいろいろとあるわけで――ホームルーム後。
「――やるわね、花井君」
「いや、ありゃ違うだろ。絶対」
 恋する乙女心を利用してうまく逃げたのよ、と言う沢近に呆れ顔の美琴。
「アイツがそういうのに頭回ると思うか?」
「……それもそうね」
「だいたいさ、その恋する乙女心ってのから間違ってないか?」
「あら、そんなことないわよ……いいの?美琴」
「……なんでそこで私に振るんだよ」
「だってバレンタイン――」
「だからあれはっ!」
「はいはい、そうね、そういうことにしといてあげる」
 沢近のその態度に、実は今朝もうお返しはもらっただとか、少し――ほんの少しだけそれが嬉しかっただとか、そういう
ことは決して言うまい、と固く誓う美琴。
「ま、とにかく、よ。あれは絶対間違いないわね」
 妙に自信満々の沢近に、晶が一言。
「愛理もそうだからわかるんだよ、きっと」
「そうなのか?沢近」
「なんでそうなるのよっ!私はね、もっと……」
「……もっと?」
「……なんでもないわよ」
「なになに?愛理ちゃんがどうかしたの?」
「別にどうもしてないわよ……それにしてもどうしたの?天満。ずいぶん嬉しそうだけど」
 沢近の言葉にえっへん、と胸を張る天満。
「実はね――」
「ああ、もうなんとなくわかったからいいわ。烏丸君にもらったのね、お返し」
「う、そうなんだけど……自分で言わせてよ、愛理ちゃん……」
「いいじゃない、減るもんじゃなし。でも、確か渡せなかったとか言ってなかった?あなた」
「うん、あの日はそうだったんだけど、いろいろあってね」
「いろいろね……で、何もらったんだ?」
 尋ねる美琴に対して天満が取り出したのは。

75 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:45 ID:YQ5.p6rQ
「……ソコイチのタダ券?」
「……そうね、私にもそう見えるわ」
「それ以外には見えないけど」
 呆れ顔の二人――晶は相変わらずいつも通り――だったが、当の天満はこれでまた烏丸君と、と浮かれている。
「……まあ、本人がいいならいいんだよな、多分」
「カレー、ね……」
 ぽつりと言ってから、ちらりと横を見やり――
「――播磨君ならいないよ」
「……あ、そう」
 ――不意打ちのような晶の一言を受け流す沢近。
「ん?そう言えばそうだな。さっきまでいたような気がしたけど……」
「ホームルームの前に出て行っちゃったよ、播磨君」
「どうせまたその辺ほっつき歩いてるんでしょ。さ、帰りましょうか」
 そう言って立ち上がり、鞄と机の横にあったちょっと大きめのトートバッグを手に取る。
「ちょっと待て、まさかそれ全部……」
 美琴の問いに、そうよ、全部お返しだけど、となんでもないように答える沢近。
「すごいね、愛理ちゃん」
「どうやって脅したの?」
「……晶、あなたね」
 げんなりした顔で晶にそう言ってから、もういいわ、先帰る、とすたすた歩き出す。
「あ、おい!……ったく」
「愛理ちゃん……」
「愛理もいろいろ苦労してるんだよ」
「いや、お前がさせてるように見えるぞ、高野」
「気のせい」
 しれっと言ってのける晶に、いいけどさ、と肩をすくめてみせる美琴。
「それじゃ行くか。沢近にゃ追いつくだろ、どうせ」
「うん」
「そうね」
 かくして、三人も席を立ち、教室を後にした。

76 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:46 ID:YQ5.p6rQ
 ――さて、播磨はと言えば、ということで時間を若干戻す。
(どうせまた長引くしな、悪ぃが抜けさせてもらうぜ)
 実際のそれは舞の手により五分とかからず終了することとなったのだが、そんなことは知るよしもない播磨、
授業が終わるとそそくさと教室を抜け出してきていた。
(まずは、と……)
 段取りを考えつつごそごそと荷物をあさっているその横を。
「八雲くーん!」
 花井が駆けていった。
「……んだよ、おい」
 と呟いてからはたと気がつく。
(ってことはあれか、目的地は同じじゃねぇのか?)
 げんなりしつつも、むしろやるべきことはその後に控えているため時間は浪費できない播磨。しゃーねえ、と
言いつつ足を進める。
 そして。
「八雲君!僕の気持ちだ、受け取ってくれ!」
「……あー」
 予想通りの展開に、茶道部の前で若干頭を押さえつつも、とりあえずドアをノックする。

77 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:47 ID:YQ5.p6rQ
「あ、先輩。どうしたんですか?」
 ドアから顔を覗かせたのはサラ。室内の窓際では、全身からなんだかよくわからないオーラを立ち上らせている
花井と、少しおろおろしつつも向き合っている八雲。
「ん、ああ……」
 取り込んでるとこ悪ぃな、と頭を後ろ手でぽりぽりとかきながら、袋の中から小さな花束と小袋を二つ取り出す。
「先輩、これ……」
「なんつーかな、ほらあれだ、礼はきちんとしねえとな」
 相変わらずこの手のことを苦手とする播磨、傍目に見てわかるほどに真っ赤である。
「こっちは八雲の分ですよね。今ちょっと立て込んでますけど――」
 見れば、出来れば感想を聞かせてほしいのだが、という花井に、おずおずとそのクッキーを口に運んでいる八雲。
「――直接渡した方がいいですよね?」
「いや、構わねぇよ。よろしく言っといてくれ、いろいろ世話になってるしな」
「そうですか?八雲もその方が喜ぶと思うんですけど……」
「……なんでだ?」
 聞き返す播磨に、そういうところが先輩らしいです、と微笑んでから、それじゃ確かに、と受け取る。
「頼むぜ。んじゃな」
 そう言って立ち去ろうとする播磨の背に声をかけるサラ。
「ありがとうございました、先輩」
 満面の笑顔。
「……お、おう」
 その一言に先ほど以上に真っ赤になりつつ、播磨はその場を離れた。

78 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:47 ID:YQ5.p6rQ
(ここからが本番だぜ……)
 一息ついて動揺を振り払い、気合を入れ直す播磨。なんとなれば、その目的は。
(――天満ちゃん)
 そう、肝心要の天満にまだお返しを渡せていない播磨だった。教室で堂々と渡す度胸などあるわけもなく、さり
とて話しかけようにも。
(アイツ、絶対俺に恨みかなんかあるに違いねぇ)
 ……誰が何を、は言わずもがなである。
 ともあれ、そんな状況下で播磨が取った作戦とは、古典的な手段――下駄箱利用、というヤツである。既に大ポカ
で一度失敗している手ではあるのだが、失敗を乗り越えるのが男だぜ、ということらしい。
 むしろ、世の真理は二度あることは、というやつなのであるが。
 さておき。
「……まあ、一応な」
 昇降口に到着した播磨、そう呟きながら最初に手をかけたのはその沢近の下駄箱である。その妙なところでの義理
堅さや、余計なところで気を回して実行するフォローが自身の問題を引き起こしているのには当然気づいていない。
 そして。
「天満ちゃん……」
 本命たる天満の下駄箱を開け、お返しであるところの小物入りの袋を入れ、さらに後で屋上に来てくれる旨を記し
た手紙を置こうとしたその時――
「何してるのよ、アンタ」
「ッ!!」
 例によって例の如く、最悪のタイミングで最も聞きたくなかった声――沢近のそれを耳にする播磨。慌てて振り返り
後ろ手で下駄箱を閉じる。
「な、なんでもねぇよ」
「……そう。ならどいてくれない?」
「へ?」
「あのね、そこは私の」
「お、おう。そそそうだな、悪かった、じゃあなっ」
 言うや否や、速攻でその場から逃げ出す播磨。

79 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:48 ID:YQ5.p6rQ
「……何よ」
 ご機嫌ナナメの表情でそう呟きながら下駄箱を開ける沢近。
「――――」
 中にあったソレを取り出して手に取った表情が、なんとも言えない複雑なものに変わる。何かを言おうとするも言葉
にならず、そのもどかしさに視線を下に落として。
「……?」
 そこに落ちている紙切れに気がついた。拾い上げてみると、話があるから屋上に来てくれ、という内容の文面。
「……これって」
 それが意味するところを考えようとした矢先に。
「ん?何やってんだ、沢近」
「っ……なんでもないわよ、別に」
 こちらも絶妙のタイミングで声をかけられ、一瞬呼吸の止まる沢近。幸か不幸かその動揺に気がつかなかった美琴が、
もらいすぎて重くて疲れたんだろ、などと茶化してくる。
「美琴、あなたね……」
「はいはい、と。んじゃ帰るか」
 ぽんぽん、と肩を叩きながら言う美琴に、ごめんなさい、と沢近。
「ちょっと用事思い出しちゃったから……」
「あ、私何か手伝おうか?」
「ありがとう、天満。でもいいわ、頼んじゃうのもなんだか悪いし」
「遠慮しなくてもいいんだけど……そっか」
「ごめんね。それじゃ」
 空いている方の手を軽く振り、廊下を戻る沢近。
「ああ、じゃあな」
「また明日ね、愛理ちゃん」
 そして、最後まで沈黙を守っていた晶は。
「――がんばってね」
「……何をよ」
「さあ?」
「……」
「それじゃ」
「……それじゃ」

80 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:48 ID:YQ5.p6rQ
 ――で、屋上。
「……」
 独り風を受けて――それに特に意味はない――立つ播磨、事態の展開など知るよしもない。
「――天満ちゃん」
 呟いたその時、階下からのドアが開いて――
「……ほんとここが好きよね」
 ――沢近が立っていた。
 当然と言えば当然のことなのだが、播磨にしてみれば何がどうしたのかわからない、というところである。
「お前にゃ関係ねぇだろ」
「――これ、アナタでしょ?」
 その言葉には答えず、小さなブローチを見せる沢近。
「……」
「……なかなかいいセンスじゃない」
 ありがとう、と聞こえるかどうか、というくらい小さな声でそう言った。
「……お、おう」
 実際のところは散々絃子に連れ回された代償として、手の届くところで何点か見つくろってもらったのだが、
雰囲気に押されて頷く播磨。
「それだけよ。じゃ、アンタもさっさと帰りなさいよ」
 誰も来ないんだし、と言って階下に戻ろうとする沢近。
 が――

81 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:49 ID:YQ5.p6rQ
「誰もって、なんでお前……」
「あ……」
 しまった、と思うものの後の祭り。なんとなくよ、と言ってみるものの、それで納得する播磨ではない。
「待て、お前まさか……」
「何よ!全部アンタが悪いんじゃないっ!」
 バッグから取り出した手紙を叩きつけ、そのまま屋上を飛び出す。
「……!…………!」
 閉まる分厚い鉄扉の向こう、それに激突したと思われる播磨の声を背に、一段飛ばしで一気に階段を駆け下りる。
「……何よ」
 ようやく昇降口まで辿り着き、私は全然悪くないじゃない、と思う沢近。なら逃げなければいいのだが、そこで
そうしてしまうのが自分、というのは重々承知であって――
「――ああ、もう」
 考えていてもどうしようもない、と下駄箱を開け、今度こそ靴を履き替えて外に出る。
「……」
 そして、そこで屋上を振り返ろうとして――やめた。
「……バカみたい」
 呟いて早足で歩き出す。
 ――掌にはその小さなブローチを握りしめたままで。

82 名前:throwing into confusion :04/03/16 01:53 ID:YQ5.p6rQ
……よく考えたらバレンタイン話の続きになってる、という致命的な欠陥に今気がつきました。
なんか話がわかんねぇよ、という方スミマセン_| ̄|〇

83 名前:Classical名無しさん :04/03/16 03:04 ID:YLPiRWFc
・・・・これはいいものだ。

84 名前:Classical名無しさん :04/03/16 06:19 ID:zTo1drnw
同感、いいものです。いいスクランです。

85 名前:Classical名無しさん :04/03/16 14:06 ID:R1x.T5Tg
食べてイイ?

86 名前:一応前々スレ72の続きのつもり :04/03/16 18:39 ID:n9A8X3ik
「で、拳児君」
「なんだイトコ」
「これは何だね?」
「何って見りゃわかんだろ…ホワイトデーのお返しって奴だ」
「…はて、拳児君に何かあげたかな?」
「すっとぼけんなよイトコ!どうせ塚本君には貰えなかったんだろうとか
余計なこと抜かしながら恩着せがましく恵んでやるとか言ってくれただろうが!!」
「あぁ、あれか…あんな単なる冗談にちゃんとお返しをするとはキミも律儀な奴だな」
「…まぁんなこったろうとは思ったがな。一応貰ったという事実に変わりはねーし」
「そうか。有難く頂くよ拳児君」
「おう」
「…しかしこれキミが選んだのか?」
「いや、オレそーいうのさっぱりわかんねーから妹さんに見立ててもらった」
「ほう…」
「あー心配すんな、イトコにだとは言ってねぇから」
「そうか。じゃあ私の好みだけ伝えて見立ててもらったというわけだな」
「そんなところだ」
「…しかし彼女はどう思っただろうな」
「???」

87 名前:Classical名無しさん :04/03/16 18:38 ID:n9A8X3ik
「誰にかは言わずにただ『ホワイトデーのお返し』を見立てて貰ったのだろう?」
「あーそいつは大丈夫だ。別にイロコイじゃなくて単に日頃ちょっくら世話になってる人への
まぁお礼みたいなもんだって話はちゃんとしてあるぜ。もし天満ちゃんに伝わってもあらぬ誤解をされる心配はねぇ」
「…そうか。いや私は姉にどう伝わるかよりも彼女自身がどう思うかを心配したのだが」
「妹さんが?ちゃんと付き合ってもらった礼はしたぜ?」
「ほお」
「いや妹さんがえらく気に入ったのがあってな。イトコの好みじゃないっぽいんで却下したけど
なんか残念そうにしてたんで付き合ってくれたお礼として妹さん本人にあげりゃいいかなと思ってな」
「またキミにしてはえらく気の利いた真似をしたもんだな」
「そうか?いや一応嬉しがってはくれたんだが何しろあーいう娘さんだろ?本当に喜んでくれたかイマイチ自信がなくてな」
「しかしとことん鈍感な上に天然だな…姉の前でそれができれば苦労しないだろうに」
「ん?何か言ったかイトコ?」
「いや別に」

おしまい。

88 名前:Classical名無しさん :04/03/16 21:49 ID:YQ5.p6rQ
>>86-87
当の八雲が出てこない故に、読み手が好き勝手に想像できる、というのがいいなあ……
しかし、この調子で行くといつのまにか付き合ってそうなんですが、八雲。

89 名前:Classical名無しさん :04/03/17 00:23 ID:zTo1drnw
彼女には、幸せになってもらいたいですね〜。

90 名前:Classical名無しさん :04/03/17 00:41 ID:oaBiROAk
>>86-87
毎度、毎度見事な手際です。お疲れさまッス。
今回は偉そうに注文を一つ。
 「読点をつけた方が読みやすい」
会話のみでのSSですから、読点は氏の考えている流れを切ってしまう恐れもありますが
つけることにより、よりテンポの良い作品に仕上がると思います。
説明的な台詞は特に、ですね。

それにしても播磨と絃子さんの絡みはイイですねぇ。
スクランのツーショットの中でも特に好みかも。


91 名前:Classical名無しさん :04/03/17 00:50 ID:BXY/GlCw
>>86-87
お疲れ様です。八雲が出てないのに八雲に萌える話っすね。
これからもこの路線で進んで貰いたい(*´д`*)

92 名前:A small present :04/03/17 05:21 ID:57zCo5Gg
美琴はいつも1人で学校へいくのだが、今日は偶然花井と出会ってしまった。
「ふっふっふっふっふっふっふっふ」
「・・・・どうしたんだよなんだかいやらしい顔をして。」
「おう周防ではないか、とうとうできたんだよこれが!」
手に持っていたものを高らかに上げた、よくみると子瓶の中にアメだまが沢山入っている。
「アメ・・・?どうしたんだこれ。」
「ふふふ、、これはだな僕が手作りで作ったアメだ!」
「手作りって・・・アメをか?」
「聞いて驚くな!これは僕特製の香料を使って匂いをよくし、工場のおじさんから原料を貰い〜」
あめを自家製なんて聞いた事がない、どうやって作ったのだ、花井が説明しているが
耳には入ってきていない。聞けばわかるかもしれないが説明が長すぎるのだ花井の説明というのは。
「〜やって作ったのである!!そう!そしてこの入ってる子瓶も僕特製だ!!!!」
「やりすぎだーーー!!!!!」
思わず叫んでしまう美琴。

「それでな子瓶の作り方は工場のおじさんに弟子入りして〜」
「ああ!!もういい!話が長くなりそうだし、お前の話全部聞くと学校におくれちまう。」
「ん?それもそうだな、僕も早く八雲君にこのアメを届けなければ!!!!」
「八雲さんに?どうして?」
「どうしてもなにもホワイトデーだろう!!!!ホワイトデーのお返しと言ったらアメだ!!!
 今日お返しをせずにいつすると言うんだ!!!!」
鼻をフーフー吹かせながら力説する、彼をみているとこっちが頭いたくなってくる・・・。

93 名前:A small present :04/03/17 05:25 ID:57zCo5Gg
「・・・・・・・・」
「さあ張り切って今日も学校へ行くぞ!ん?どうした周防頭抱えて、お前らしくないぞ。」
「あのさ、今日何日か知ってるか・・・」
「うん?そんなこと知ってるとも!!!今日は3月17日だ!!!!」
「ならわかるだろ・・・ホワイトデーはとっくの昔に過ぎてるぞ・・・」
「はっ!アメ作りに熱中する余り時間を忘れていたあああぁぁぁ・・・」
花井がその言葉を境にガクとその場にへたりこんでしまう。

「・・・・花井?」
「なんで僕はいつもこうなんだ・・・肝心な時にいつも・・ブツブツ・・・。」
「あのさ・・・落ち込むのは渡してからでいいんだと思うんだけど・・・」
「いやだがホワイトデーのお返しとはその日にあげるものであって、違う日にあげたらただのプレゼントだ。」
「違うぞそれは、気持ちの問題なんだよ気持ちの!!八雲さんにバレンタインデーのお返しと言えば八雲さんだって
 笑顔で受けとってくれる、あたしが太鼓判を押してやる!!」
パンと胸を張って美琴が力説をする。その言葉に感動したのか
「そう・・・そうか!そうだったな、ありがとう周防よ、はっはっは!!!!!」
その言葉で復活を果たした花井。
(まったく・・・調子いいんだから・・・)
まだ笑ってる花井を見てるとちょっと嬉しくなってしまう。


94 名前:A small present :04/03/17 05:27 ID:57zCo5Gg
「周防よ。」
「うん、なんだ。」
「バレンタインのお返しだ、ほれ。」
花井は鞄の中からガラスの子瓶(あめだま付)を周防に渡した。
「いいよあたしは、チョコあげたのだって・・・ほらっ残り物だし、いらないから。」
「はっはっは、てれるなてれるな。」
「照れてない!!!」
顔が赤くなってるのが自分でもわかる。時々花井は恥ずかしいことをいってくれるからその・・・困る。

「あそこにいるの八雲君!さっそくこの愛のアメを届けなければ!!!じゃあな周防、またクラスで会おう!!!」
「おい、これ!!!!!」
言うのが遅く花井はすでに八雲の射程内まできている。
「八雲くーん!遅くなったがホワイトデーのお返しだ!!!!快く、受けとってくれ!!!!」
サラと一緒にいた八雲がビクついている、だがそれも全然気にせず花井は八雲君に話かけまくる。
(あれじゃあ怯えるに決まってるだろうが・・・)
あれでは感情もへったくれもない、少しはもっと愛情ってもんが・・・

95 名前:A small present :04/03/17 05:29 ID:57zCo5Gg
「ミーコートーちゃん!」
「痛ぁあ!!!塚本!!!!後ろから抱き付いてくるなよ!びっくりするだろ!」
後ろから抱き付いてきたのは天満だった。
「えへへーまあまあ美琴ちゃん怒らないで・・ってあれーどうしたのーそのアメだま?」
「え?これか?」
美琴が手に持っていたガラスの子瓶に入ったアメだまがきらりと光る、それはとても綺麗だった。
「いいなあー綺麗だなー美琴ちゃんそれどうしたの?買ったの?」
「・・・・・さあ、どうだろうね?」
美琴は天満に笑いながら答えた、?とクエスチョンマークを浮かべている天満。

「あ!わかった!彼氏からのプレゼントだな〜このこの〜美琴ちゃんもすみに置けないんだから。」
「ば、馬鹿!違うって!!これはだな、ただのお返しで全然関係ないかr〜」
2人でじゃれ合いしてるとキーンコーンカーンコーンと予鈴のチャイムがなる。
「やべ、塚本、早くクラスに行くぞ、遅刻しちまう!」
「あ、待ってよ美琴ちゃんー」
手に持っていた小瓶を大事に鞄の中にしまう。

今日はなんだかいい日になりそうだ。
美琴はそう思いながらクラスまで走り抜けた。

96 名前:A small present :04/03/17 05:29 ID:57zCo5Gg
ホワイトデーSS書こうとしたんだけど書いてるうちに日が過ぎてしまったのでお蔵入り
急遽いつでも書けそうなホワイトデーSSにしました。
まあつまり・・・やっつけ万歳。

97 名前:Classical名無しさん :04/03/17 10:34 ID:mtGUYu4A
Good job!


しかしながら、漏れも縦笛のホワイトデーSS投下するつもりだったが
もうムリぽ

98 名前:Classical名無しさん :04/03/17 16:19 ID:jgUEbq3Q
>>86-87
拳児君なんだイトコおにぎり風味シリーズ(自分の中で勝手にそう命名してます)、いつもおいしく頂いてます
ヤクモンにも絃子さんにも萌えられる話の作り方がうまいっすね

、、、ってかこれとか分校オエビのNo.950見てて思ったんだけど
沢近が八雲に絡んだり沢近が絃子と播磨の関係を誤解→「俺のイトコ」コンポやるより
八雲で同棲疑惑→俺のイトコネタやるのが絃子さんとの関係が強いぶん
少なくとも話の広がりは確実にありそうなんだよなぁ・・・

しかしそう考えると旗派っていつのまにか何気に苦しい立場に追いやられてるんだな
おにぎりのが普通に良好な関係を築いてるし八雲のが播磨を正しく理解してる
ツンデレが旗の醍醐味だから旗派にとってそれは必ずしも弱点じゃないけど
播磨→八雲の感情と播磨→沢近の感情の差は少なくとも現時点では雲泥の差がある
髭剃りの話をやった以上原作サイドは旗を有力な選択肢の一つとして残してるんだろうけど
体育祭でジャージイベントが起こらなかった場合耐え切れずに脱落する旗派も出てきそうだな

まぁぶっちゃけ沢近にしろ八雲にしろ恋を知ることそれ自体に意味があるキャラ設定だし
「播磨拳児という男と出会ったことで成長した」って方向に持っていけば
播磨と結ばれなくても必ずしもバッドエンドってことにはならないわけだから
旗エンディングもおにぎりエンディングも正直期待薄かな、って気もするんだけどね


99 名前:Classical名無しさん :04/03/17 17:28 ID:GE0gjn5M
長い

100 名前:Classical名無しさん :04/03/17 23:42 ID:Ra/KMP5g
長いね。
しかし旗派というのは「播磨は沢近とくっつくよ」じゃなくて単に
「沢近に萌えるよ」だと思うんだけど。俺だけか?

101 名前:Classical名無しさん :04/03/17 23:53 ID:qgO28rcY
私的意見は、堕ちる(マテ)までの工程が好きだね。

くっついた後はシラネ(;゚听)

初々しいのがいいんだよ!(ダメ人間

102 名前:Classical名無しさん :04/03/18 00:04 ID:YQ5.p6rQ
基本的には>>101に同意するものの、くっついたらくっついたで

「……ほらよ」
「何よ、コレ」
「な、何ってお前な……言ってたじゃねぇかよ、誕生日に欲しいモンがあるって」
「っ……あなた、まさかホントに……あれはその」
「……悪ぃ、気に入らなかったか」
「ちょっ!そんなこと言ってないじゃない!」
「ならいいんだけどよ」
「……と」
「ん?」
「……がと」
「なんだよ、らしくねぇな」
「だからっ!……ありがと、って言ったの」
「お、おう。そうか」
「……もう、バカ」

などという、お前ら誰だよ的なバカップルぶりが、こう――ってこれも初々しいに入るのか。
ダメ人間の数→2

103 名前:Classical名無しさん :04/03/18 01:47 ID:CAf14WDE
>>101
釣った魚にもキチンと餌をやるべし。

>>102
イイ!!

104 名前:Classical名無しさん :04/03/18 02:07 ID:JWo9AdpA
>>100
それは若干違うな
正確には「播磨絡みで良くも悪くも意識してるだろう沢近を妄想して萌えるよ」だろう

………ながいな

105 名前:White Day Memory :04/03/18 04:04 ID:3x.Io42s
3月14日、ホワイトデー。
バレンタインデーに比べると幾分忘れ去られやすい一ヶ月遅れのイベントである
しかしそこは真面目が服を着たような男、花井春樹。抜かりは無い。

話は前日の13日から始まる。
「ふっふっふっふっふ、とうとう明日か・・・、これを渡して塚本君と・・・」
台所にて怪しく笑い続ける花井。
「お前、何やってんだ?」
背後から声をかけられ振り向くと、そこには同門の幼馴染、周防美琴が立っていた。
言動や表情から、花井の様子にあきれているようだ。
「これ・・・、マシュマロか。何でこんなもん作っ・・」
そこまで言って気が付く。
(そっか、明日はホワイトデーだったっけ。塚本の妹さんにあげる為に作ってたのか)
そんな美琴の様子に気付いて言葉を発する花井。
「うむ、バレンタインデーにチョコレートをいただいたからな。お返しをせねばなるまい。
このマシュマロを彼女に渡し、お互いの愛を深めるのだぁ!」
「愛を深めるって・・、向こうはお前のこと何とも思ってねーだろ」
熱い答えに冷たい反応。
「ふ、甘いな周防。僕はバレンタインデーに彼女からチョコレートを貰っているのだ!
望みはある!それどころか悲願達成なるやもしれんのだ!!男・花井春樹――」
「あーもう、分かった分かった!」



106 名前:White Day Memory :04/03/18 04:06 ID:3x.Io42s

いつもの如く、長くなりかけた花井の話を遮る美琴。
「気張るのはいいけどさ、本番は明日だろ?今からそんな調子でいざ渡すときにエネルギー切れてたらどうすんだ?」
「む・・・、確かにそうだな。よし!今日は英気を養うために早めに就寝するとしよう。
では周防、明日学校で会おう!」
もう寝るのかよ、と呆れる美琴を台所に残し花井は早々に自分の部屋に入っていった。
「お返しか・・・」
独りそう呟く美琴。
八雲にお返しをすることに頭が一杯で、自分が渡した分は忘れ去られたのだろうか?
そう思うと、胸のざわつきが止まらなくなる美琴だった。



――――――で、翌日
「塚本君!今行くぞぉーーーーーー!!」
早めの就寝が効いたのか、朝から八雲への想い、テンション、心構えその他諸々がMAX状態な花井。
低血圧な方が見ると、鬱陶しい事この上ない。
「塚本君!!僕の気持ちがこもったこのマシュマロを受け取ってくれたまえ!!!」
八雲の教室、1−Dに現れるなり吼える花井。が、そこには八雲の姿はない。
「む・・・、まだ登校してないのか。早く来すぎたな」
そう言い教室を後にする。




107 名前:White Day Memory :04/03/18 04:08 ID:3x.Io42s
・・・・・
「八雲、花井先輩行ったよ」
サラがそう言うと、教室の陰からひょっこり八雲が姿をあらわす。
「ふう・・・・・」
「相変わらず花井先輩が苦手なんだね。」
「そ、そういう訳じゃ・・・・」
いつも以上に気合が入ってる花井に元々男性が苦手な八雲はいつも以上に敬遠しているようだ。
加えて八雲は自分に好意を抱いている異性の心が読める。
つまり、花井がどこでどう行動するか読まれてしまうのだ。
そのせいで花井は八雲にホワイトデーのプレゼントを渡せないまま、とうとう放課後になってしまった。


「くうぅぅぅ!何故だ!?今日に限って何故、塚本君に会うことができんのだぁ!!」
落ち込む花井。でもテンション高い。
(やっぱりヒサンな奴・・・)
昨日抱いた気持ちはどこへやら、美琴はそんな花井の様子を見て同情めいた溜息をつく。
「おい花井、渡せなかったモンはしょーがねーだろ。これから道場で稽古があるんだし――」
「すまないが休む」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
花井が何を言ったのか理解するのに時間がかかった。
休む?あの花井が?真面目だけがとりえみたいなヤツなのに?


108 名前:White Day Memory :04/03/18 04:12 ID:3x.Io42s
「八雲君にこのマシュマロを渡さん限り、僕は帰らん!父と道場の皆にはそう伝えてくれ!」
「はぁーーーー、お前な、いい加減諦めたらどうなんだよ?」
「諦めたらそこで試合終了だ!」
どこぞのバスケ部監督のような台詞を吐く花井。おまえ、武道家じゃないのか。
「そーかよ。じゃ、勝手にしな」
心底疲れた様子で美琴は言葉を紡ぐ。
「言われなくてもそうさせてもらう!塚本君、どこにいるんだぁぁぁぁ!?」
そう言って、校門から砂煙をあげながら出て行った。
「あいつ、町中を探すつもりかよ。ま、ほっときゃいいか。稽古、稽古」
そう言いながら美琴も校門から出て行く。



――――――――-一方、こちらは下校途中の八雲とサラ
いつも以上に鬱陶し・・、もとい、テンションの高かった花井が話題の中心だ。
「よくよく考えたら今日ホワイトデーだったんだし、花井先輩、お返しを渡そうとしただけだったんじゃないかな?」
「あ・・・」
「確か、私も八雲もあの人に義理チョコあげたし。花井先輩、お礼とかそういうのちゃんと返すタイプっぽいし」
「・・・・・・・(き、気付かなかった)」
あんなに強烈に迫られようものなら、気付かなくて当然かもしれない。
二人がそんな会話をしていると、八雲は突然、足元にくすぐったさを感じた。
「野良猫・・・・・?」
汚れた猫が八雲に擦り寄っている。
「へぇ、野良猫って警戒心強いから人には懐かないのに。さすが八雲!」
「そ、そんなこと・・・・・」
感嘆するサラにどもる八雲。そんな二人にかまいもせず野良猫はなおも八雲に擦り寄る。
その様子をしばらく二人は眺めてたが、やがて八雲はおもむろに猫を抱き上げた。



109 名前:White Day Memory :04/03/18 04:14 ID:3x.Io42s
八雲がその猫に話し掛けようとしたまさにその時、
「見つけたぞぉーーーーーーー!塚本君!!」
後方からやって来る、正々堂々としたストーカー、もとい、男・花井春樹。
ズザザザザザザッという効果音と共に八雲とサラに追いつく。
「やっとこれを渡せる。塚本君!バレンタインデーのお返しだ!僕の気持ちのこもったこのマシュマロを受け取ってくれたまえ!!」
「あ、あの・・・」
「遠慮をすることはない!ホワイトデーのお返しは男として当然の事だ!」
「もしもーし、花井先輩?」
「おおっ、サラ君!確か君にもチョコを貰ったな。心配することは無い、君の分も用意してある!」
そう言って、マシュマロの入っているラッピングされた透明のビニール袋をもう一つ鞄から取り出す。しかし、八雲に渡すものよりは幾分小さいようだが。
「はぁ、ありがとうございます。」
「どういたしまして。さあ、塚本君も!」
「え、あの・・・・」
突如現れた花井のテンションについていけない二人。そんな雰囲気を感じ取ったのか、八雲の腕の中に収まっていた猫が急に暴れだし、飛び跳ねた。
「あっ!」
珍しく感情を表した八雲の声。それもそのはず、猫は車道に向かって飛び跳ねたのだ。
しかもタイミングが悪いことに、車が近づいてくる。
(危ない――――――――――)
そう思い、猫を助け抱える八雲。しかしその結果、車の前に飛び出す形となった。
八雲が車に轢かれる―――
サラはそう思った。助けようにも一瞬すぎて体が反応できない。その時、横から飛び出す影がサラの視線に入った。
「うおおおおっ!!塚本君、危なーーーーーーーーい!!!」
花井が八雲と車の間に飛び出したのだ。そのまま花井は猫を抱いた八雲を歩道側に突き飛ばす。




110 名前:White Day Memory :04/03/18 04:17 ID:3x.Io42s
その直後――――
花井の体は宙を舞い、アスファルトにたたきつけられる。彼がかけていた眼鏡が後から落下し、辺りに乾いた破裂音が響いた。




――――――――――そしてこちらは道場で稽古中の美琴
(あいつ、おせーな。まだ塚本の妹さん探してんのか?本当に稽古まで休みやがって)
稽古をしながらイライラする美琴。普段は「ミコ姉ちゃーん!」と話し掛けてくるチビッコ達も、そんな美琴の様子に話し掛けれずにいた。
そこへ急になり始めたコール音。かかってきた一本の電話。弥三郎がいないため、代わりに年配の門下生が応対していたが、急に「えぇ!?」と大声をあげる。どうしたんだろう?美琴はそう思った。
「どうしてんでぇ梅さ―」
同年代の門下生が声をかけようとすると、
「た・・・大変だ!春坊が・・春坊が車にはねられた!!」
(!!!――――――――)
一瞬、息が止まったような感覚に陥った。あいつが?なんで?冷静でいられなくなり頭が混乱する。
次の瞬間、美琴はこう口走っていた。
「何処の病院に担ぎ込まれたんだよ!?」



――――――――――――美琴は花井が担ぎこまれた病院に駆けつけた。
受付の看護師に話を聞くと治療は終わり、ベッドで安静にしてるらしい。
病室を聞き、急いでその部屋に向かい、ドアの前に立つ。
(無事でいてくれ―――――)
そう願いながら、扉を開ける。すると―――




111 名前:White Day Memory :04/03/18 04:19 ID:3x.Io42s
「む?周防か。どうした?そんなに息を切らして。」
そこにはピンピンしている花井の姿。下半身はベッドに沿える形で座っているが、上半身は体を起こしている。
そんな花井の様子に美琴は口をパクパクさせる。
「な・・・」
「な?」
「なんでそんな元気なんだぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」
病院中に美琴の怒号が響いた。




「ふん、この僕がそう簡単に車に轢かれてたまるか。」
本人談だと、どうやら車と接触する直前に飛び、車体に合わせて体を滑らせて危険を回避したらしい。スタントマンか、おめーは。
怪我は車体に当たった際の打撲と、地面に落ちた時による擦り傷だけである。

「あの・・・、すみませんでした。」
謝る八雲。傍にいるサラも沈痛な表情をしている。
「気にすることはない、塚本君。僕は君を守れただけで満足だ。」
「そ、そんなわけにはいきません・・。お詫びになんでもしますから」
「いや、本当に気にしなくていいんだ。」
「で、でも・・・・・」
そんな会話が何度も続く。キリが無いと思ったのか、花井は大きく溜息を一つつく。
「それなら・・・・・・、一つ言うことを聞いてもらおうか。」
「は、はい・・」
どんな事を言われるのか?自分から言い出したこととはいえ、八雲は不安げな顔になる。
「このマシュマロを・・・・受け取ってもらえないかな?」
傍においてあったマシュマロの袋を掴み、彼女に差し出す。
「・・・え・・、それだけで・・・いいんですか・・?」
「充分すぎるくらいだよ。」


112 名前:White Day Memory :04/03/18 04:21 ID:3x.Io42s
「充分すぎるくらいだよ。」
それが本心であることが八雲にはわかる。それに彼は常に、発する言葉と本心が一致している。
しばらく黙ってた八雲だったが、やがて「・・・・ありがとう・・・・ございます。」という言葉とともに、それを受け取った。そんな様子にサラも安堵する。
それと同時に、サラは美琴の様子に気付く。
唇を噛み締め、小刻みに震えている。そんな様子を察したサラは花井に話し掛ける。
「あの・・、花井先輩」
「ん?どうしたサラ君。」
「帰るのが遅くなってしまったので、八雲と家に電話してきます。」
「分かった。行ってきたまえ。」
「ありがとうございます。行こ、八雲。」
「あ・・・」
そう言うなり、サラは八雲の手を引き二人は病室から出て行く。

個人部屋ではないが、他のベッドは空席である。よって病室には花井と美琴の二人きり。
しばらく沈黙が保たれたが、美琴がそれを破る。

「本当に―――――――――」

声は既に涙声。

「本当に・・・心配したんだからな・・・・」

そう言いながらベッドの傍の床に膝をつき、両腕をベッドにのせる。シーツをギュッと掴むも、顔はうつむいたまま。花井からは表情が見えない。
だが、彼女がこれまで見たことも無いくらい弱弱しく見えた。
そんな彼女に言の葉を返す。



113 名前:White Day Memory :04/03/18 04:23 ID:3x.Io42s

「・・・・・・・スマン。」
静寂なはずなのに、ピーンと張った空気がうるさく感じる。
「ビックリ・・・・・・させるなよ・・・・」
「・・・・・・・スマン。」
何を言われようとこの言葉しか返せない。申し訳なく思っていると―――

ポタッ

水滴がシーツに落ち、シミを作る。
「周防・・・・・・・」
泣いている、周防が。自分を変えてくれたヒーロー、ミコちゃんが。
自分のせいで。
「周防・・・済まなかった。」
そう言ってすぐ近くにある彼女の体を抱きしめる。
美琴は抗わない。抱きつきもしない。ただ、さっきと同じように手だけにギュウッと力をこめた。
「今度心配かけさせたら・・・許さないからな・・・」
「ああ・・分かっている。」
幼馴染だからこそ、最小限の言葉で互いの気持ちを最大限に分かり合える。
今の二人はそんな感じだった。



114 名前:White Day Memory :04/03/18 04:25 ID:3x.Io42s



しばらくその状態でいた二人だが、やがて、
「そうだ、周防。お前にも渡すのを忘れていた。」
そういいながら、花井はゆっくり体を離す。
「・・・・・?」
「稽古が終わった後で渡せると思っていたんでな。」
言いながら、鞄の中から取り出したもの―――――――――――それは勿論


「・・・マシュマロ・・」


「貰った礼はしないとな。男・花井の名がすたる。」
自分が渡した分は忘れられたと思っていた美琴にとって、それは驚きだった。
当然ながら、さっきとは違った嬉しい驚き。耳と頬がうっすら朱色に染まっていく。
受け取ると、かさりとビニール袋の音が部屋に木霊する。
「あ・・・ありがと・・。」
もらった袋を胸元でギュッと抱きしめる美琴。そんな様子に花井が笑顔を返す。
「気にすることはない、男として―――」
「当然のことなんだろ?」
美琴が花井の言葉を遮り、後を紡ぐ。そんな彼女に花井は「ああ。」肯定を返した。


115 名前:White Day Memory :04/03/18 04:30 ID:3x.Io42s

「・・・・・・あの、さ・・花井。」
「何だ、周防?」
「今・・・・食べてもいいか?・・これ。」
「勿論だ。」
そう花井が言うと、美琴は口の端えをわずかに上げながら袋を開ける。
そして、マシュマロを一つ掴み、口に放り込んだ。

「美味いよ、よくできてるな。」
「僕が作ったんだ、当たり前だろう。」

そんな何気ない会話。しかし二人には、それが随分懐かしく感じられた。





116 名前:White Day Memory :04/03/18 04:31 ID:3x.Io42s



――――――――――その頃、部屋から少し離れた廊下では
「おい譲ちゃん達、そこ通してくれよ。」
「春坊は無事なのか?」
「見舞いにきた意味なくなるじゃねえか。」

道場の門下生達がやってきてるのをサラと八雲が食い止めていた。
「花井先輩は無事ですから!ちょっとの間待ってください!」
二人の時間を作ってあげようとしての行為である。
事情を知らない彼らには迷惑な行為だが、彼女達の必死さに強く言えないでいた。
八雲もサラ同様、門下生達を食い止める。
そして八雲は気付いていた。自分達が病室を出てから、いつかの時みたく、花井の心の声が聞こえないことに―――――

                                    ―完―




117 名前:Classical名無しさん :04/03/18 04:36 ID:ChXRWwy6
>>105〜116
ぱちぱちぱちぱち。ええ話や。

118 名前:Classical名無しさん :04/03/18 04:39 ID:yBKKoZHU
いいよいいよ〜

119 名前:White Day Memory :04/03/18 04:42 ID:JJYn16KE
以上です。

97であんな事書きましたが、処女作だったこともあり、皆の評価を聞きたくて
投下してしまいました。

そしたら、よくある内容、読みづらい、無駄に長い、所々投下失敗と
今更気付いた_| ̄|○

お目汚しスマソ

120 名前:Classical名無しさん :04/03/18 06:17 ID:1vSQ3rkY
>119
正攻法で書けてていいと思います。投下時間帯も含めて乙。
2・3回書くと慣れてきて書き手の味が出るらしいので一度きりでやめちゃやだよ?

でもって。
マッケンジー登場記念の体育祭SS完成。
途中で『FF5』未プレイの人は置き去りにされるネタ仕様なのでご了承のほど。

《投下》

121 名前:Necrophobia 1/9 :04/03/18 06:18 ID:1vSQ3rkY
「ふぅ。まさか、隣りのクラスと最優秀クラス賞を争う事になるとは」
「ああ、そうだな。苦戦するなら上級生相手だってあたしも思ってた」
 体育祭の華である騎馬戦を前に、2−Cと2−Dの獲得ポイントはほぼ同等。
総合では彼らのクラス、2−Cが所属する赤団が一歩抜きん出ているのだが、
この武闘派ふたりは超人揃いのこのクラスが接戦止まりなのが我慢できないらしい。

「じれったいわね…… 何か秘策でもないの? 晶」
「秘策? あるよ。でも放っておいても花井君がどうにかしそうだから教えない」
「また目の敵にしてるし…… そこまで嫌うほどイヤな奴には見えないけど?」
 沢近絵理にはクラスの勝利を真剣に願っているようにしか思えない。ウザくはあるが。
「それより次の騎馬戦、愛理は上でしょ。ハチマキはきつく締めた?」
「ぬかりはないわ。2回戦のD組との直接対決で一気にかたをつけてあげる」
 騎馬戦を得意と公言した理由が「乗馬には慣れている」というあたりが不安材料だが、
沢近の陸上での運動センスには定評がある。コツさえつかんでいれば活躍は間違いない。
次の騎馬戦でも美琴と並んでクラス内のポイントゲッターとして期待されている。
しかしまた、このクラスには運動センスの無さが超人的な生徒もいたわけで……。

「いいかい塚本さん、僕たちは最初から最後まで逃げ回る。
バックアタックの囮になれれば上出来、さらに生き残り人数に加われば完璧らしいから、
相手のハチマキを取ろうなんて考えずにとにかく自分のを死守。いいね?」
「うん、りょーかい。進む方向もだいたい冬木くんに任せるよ」
 塚本天満。クラス対抗騎馬戦唯一の逃げキャラ。
ほぼ全員参加、かつ男子2人・女子2人で組むというルールの都合上、
手が滑って騎馬を崩したり何もないところで転んだりする天満に騎馬は組ませたくない。
ならばいっそ軽いのだから上に乗せて逃げ回っていれば役に立つかもという発想である。
 ちなみに発案は花井。意外と冷血なのかもしれない。

122 名前:Necrophobia 2/9 :04/03/18 06:19 ID:1vSQ3rkY
 そして二年生全員が入場門の前に集合して直前の点呼。決戦は間近だ。
「おや? 今鳥がいないが、トイレか?」
「彼、物騒な競技はパスとか言ってどっか行っちゃったらしいの」
「なんだと! それでは騎馬を再編成しないといけないではないか」
「今鳥さんが? わ、私、探してきます!」
「おい、一条くん! 今から探しに行っては君まで参加できなくなってしま」
 ―――呼び止める間もなく消えてゆく小さな人影。これで2名脱落。
「……で、他にいない奴はいるか?」
「播磨がいないな」


「よし、人数が足りなくなっているチームは再編成するからこっちに来てくれ」
「あ、あいつ、播磨の事スルーしやがった。いったい何があったんだ?」
 美琴の疑問に答えられる者はいない。
そして数分後。4の倍数に合わせた再編成の結果、女子2名の不出場が決まった。

「いいなー。私も応援席で見てるだけのほうが良かったのに」
 と言う天満の視線の先には、軽そうだからという理由で騎馬の上に乗る事になった烏丸。
「お祭り好きの塚本さんなのに珍しいね。やっぱり運動は嫌いなの?」
「好きだよ? ただ運動音痴だから、あんまり集団競技には向いてないのかも」
 冬木の気遣いも脳内で烏丸が大活躍する妄想に勤しむ天満にはあまり届かない。
 
「ところで晶、あの2−Dにいる外人。名前からして気に入らないから最初に狙っていい?」
「指揮力も個人の力量もただごとじゃないから最初に潰しておきたいんだけれど、
練習を見た限り誘いに乗ったら囲まれて各個撃破されるわ。愛理だけ突出しないで」
 ハリー・マッケンジー。下馬評が並だった2−Dを最優秀クラス争いに導いた留学生。
そのカリスマ性と清濁併せ持つ性格から『乱世の奸雄』と呼ばれている。
「そうなの? それにしても練習まで偵察してたなんて…… ほんと晶って謎ね」
「ありがと。もちろん誉め言葉だよね?」

123 名前:Necrophobia 3/9 :04/03/18 06:19 ID:1vSQ3rkY
 一方そのころ、播磨は屋上入り口の屋根でひなたぼっこをしていた。
「けっ。天満ちゃんの騎馬にもなれねえし、上に立って活躍できる可能性もねえ。
しかも乗せるのが奈良だと!? やってられるかそんなもん」
 体格が良すぎるが故に女子2・男子2というルールでは支える側にしかなれない宿命。
同じ境遇の花井と違って美琴のような信頼できる相方もいないためサボるつもりらしい。

 と、そこへ扉の開く音。とりあえず気配を殺して上から覗いてみる。
「俺、舞ちゃんに嫌われてたっけ? あれが嫉妬なら見込みのあるCだから嬉しいけど、
あんな燃えも萌えもしない女子連中と組まされてもやる気出ねーや。……寝よ」
 上からなので髪型しか見えないが、おそらく今鳥。
委員長が決めたチーム編成が気に入らなかったのか、出場する気をなくし昼寝に来たらしい。
そのまま床に横向けに寝転んで目を閉じ、すぐイビキ。やけに寝相がいい。

 と、そこへもう一度扉の開く…… いや、外れる音。
「今鳥さん、ここだったんですね。探したんですよ」
「う、うわぁっ! とりあえずドアは置いとけ、いや置いておきましょう一条サン」
 生命の危機を感じて飛び起きる今鳥。
「あ、そうですね。あとで直しておかないと」
 外れた鉄製の扉を片手で柵に立てかける一条。1000万パワーは伊達じゃない。
「それでですね今鳥さん」
「みなまで言うな。俺が悪かった。次の種目からはちゃんと出るから」
 会話終了。
「……えっと。ありがとうございます」
「で、これからどーすんだ? もう今からじゃイチさんも間に合わねーだろ、騎馬戦」
「あ……」
 
 はるか下方では1回戦が始まろうとしている。
播磨は懐から双眼鏡を取り出した。目的はただひとつ、天満の晴れ姿を鑑賞するため。

124 名前:Necrophobia 4/9 :04/03/18 06:21 ID:1vSQ3rkY
 騎馬戦1回戦は2−Eとの対決。―――2−Cの圧勝。
「大活躍だったね愛理ちゃん! それに美琴ちゃんも。すっごく目立ってたよ!」
 ピコピコ飛び跳ねて喜びを表現する天満。
「ありがとう。あなたも目立ってたわよ? いい標的なのに何故かとどめが刺せないって」
「いや〜、照れちゃうな〜」
「塚本。沢近のやつはたぶん誉める意味で言ったんじゃないと思うんだが……」

 なんて勝利を喜び合っていると、直後の試合で全校生徒の大きなどよめき。
「なんなのさ、あれ!?」
 2−D、留学生ハリーを中心とした独特の隊形で時間内に2−Bを殲滅し、完全勝利。
「……くやしいけど、チームワークは彼らのほうが上みたいだね。どうするの?」
「どうするもなにも、僕達に作戦など不要! 個々の能力を活かして全力で戦うのみ!」
 言い換えれば策はないらしい。晶も花井の発言を予想していたのかつっこまない。

 そうした動揺の中、話題の主である留学生がこちらに歩いてきた。
「2−Cのみんな、こんにちは。次は私のクラスとの対戦だね。おてやわらかに頼むよ」
 完勝したあとでそんな事を言っても普通はイヤミにしか聞こえないわけだが、
美形なためかそこそこ好印象を持った女子もいる。見た目って重要だ。
「それにしてもこのクラスは美人が多いね。思わず見とれてしまいそうだ」
 そう言ってハリーがつかつかと近寄った先にいた女生徒は、塚本天満。
「美しい……。艶のある長い髪、古い日本の言葉では『緑の黒髪』と言うんだったかな。
君のような女性がこの高校にいただなんて、私は本当に運がいい」
「緑? 黒髪なら緑じゃないような……」
 留学生に国語力で負けるな、天満。

「で、2−Dの司令塔が何のご用? 命乞いなら受け付けてあげるわよ(※以下英語)」
「ははは、これは頼もしい。君も留学生かい?」
「おあいにくさま。私は沢近愛理、日本人よ。ハーフではあるけれど」
「ところで、このクラスには私と似た名前の生徒がいると聞いていたんだが、どこかな?」
「さあ? ガセネタでしょ? 次の試合だからもう戻ったほうがいいんじゃない?」


125 名前:Necrophobia 5/9 :04/03/18 06:22 ID:1vSQ3rkY
 ふたたび舞台は屋上。
 騎馬戦 ――というより天満を見続けていた播磨は怒りに震えていた。
「あの外人! 天満ちゃんに言い寄ろうなんざ未来永劫早い! 即潰す!」
 もちろんそのあと沢近と会話していたあたりまでは見ていない。それがお約束。
すぐさま屋根から降り、ぼんやりしていた今鳥と一条に喝を入れる。
「そこの二人! 騎馬戦に出るぞ。付いて来い!」
「はぁ?」
「え? 播磨さん、いつからそこにい」
 反応が鈍いのにしびれを切らして、今鳥と一条を抱えて運動場まで階段を疾走する播磨。
愛ゆえに人はどこまでも強くなれる ……のか?

 そして運動場では、直接対決寸前。
「あの優勝旗、君たちには渡さんぞ! 
この四騎の協力によって、無敵の陣形を手に入れたのだから。……倒せるかな?」
 先程と同じ、ハリーの四方を囲む布陣を組んだ2−D。
周りの4人+ハリーの騎馬に精鋭を固めているのか、残りは適当な戦力のようだ。
しかしだからこそ、それで2−Bを殲滅したあの隊列を恐れるべきなのかもしれない。

 そんな皆が騎馬別に待機している運動場へようやく到着した播磨たちはというと。
「しまった! よく考えたら騎馬戦に出るには女子があと一人必要じゃねーか!」
「おいおい、何も考えずに俺たちを連れてきたわけかよ」
 正解。深く考えずに何事も行動から入るのが播磨の長所であり短所です。
「しょうがねぇ。誰かうまい具合に余ってくれてりゃいいんだが……」
クラスの待機場所を見回すと、都合のいいことにクラスメイトらしき女子がふたり。
(瓶底メガネのひ弱そうな女と、なにか見慣れた感じのする女か。よし、こっちだ!)
見慣れたほうの女子の腕をいきなりしっかと掴んで真剣な表情で嘆願する。
「頼む! 一緒に騎馬戦に出てくれ! お前しかいねえんだ!」
「!?」
 で、返事も聞かずに拉致。今の播磨にはもうあの外人を倒す事しか頭にない。

126 名前:Necrophobia 6/9 :04/03/18 06:23 ID:1vSQ3rkY
 だが、少し遅かったのか号砲が鳴る。2−Dとの騎馬戦がついに開始された。
「これ以上もたついてるわけにはいかねえな。今鳥! やっぱりお前が騎馬の上だ。
俺の体重を支えて速く動くのはお前等3人じゃ少々不安が残る!」
「お、おう。ここまできたら何だってやってやるよ。あとでアイスくらいおごれよ?」
「で、俺が先頭。女子ふたりは後ろだ。行くぞ!」

「おや? うしろで今鳥や播磨の声が聞こえたような」
「花井っ、試合中は前に集中しろ! そうでなくても狙われてんだからな!」
 上から美琴の激が飛ぶ。なるほど、確かに包囲されそうだ。
「ふん。性能の差が戦力の絶対的な差であることを、教えてやる!」
 
「こっちはあの固まってる連中は無視して、先に雑魚を一掃するわよ!」
「了解。時間切れ判定でも勝ちは勝ちだものね。愛理には似合わない勝ち方だけど」
「何言ってるのよ。メインの獲物は最後に取っておくのが狩猟の醍醐味でしょ?」
 相手の主力に突っ込んだ美琴たちと、迂回して撃墜数を稼ぎにいった沢近たち。
どちらもやる気充分ではあるが、個人の能力にも限界というものがある。
たちまち隊列の一部に挟まれて凌ぎきるのが精一杯という状況に陥ってしまった。

「くっ、大丈夫か周防!」
 伸び寄る複数の手を払うのが精一杯の美琴と、下で懸命にバランスを保とうとする花井。
「まだ大丈夫だ! 塚本でさえまだ脱落してないのに、先に私がやられてたまるか!」
 顔にときどき振ってくる汗の雫が厳しい状況を如実に示しているが、
花井がいまさら作戦ミスを悔やんでもどうにもならない。美琴を信じて支えるだけだ。
 そんなとき、後ろから騒々しい足音が聞こえてきた。播磨たちである。

「播磨! それに今鳥も!」
「む、お前はいつぞやのサムライ?」
「間に合った! あのままサボってちゃ、カッコ悪ぃまま歴史に残っちまうからな!」 
「フッ…… 何をごちゃごちゃと…… お前もこの隊列の餌食になるがいい!」
「上等だぜ! この播磨拳児様が、倒せると思うなよ!?」

127 名前:Necrophobia 7/9 :04/03/18 06:24 ID:1vSQ3rkY
「発音が違 ……いや、君がそうだったのか、実に楽しませてくれるじゃないか。
気が変わった。先に他の生徒達から排除させてもらおう」
 そう言って自分を取り囲む陣形に向かって何かを指示。一団になって下がってゆく。
「くそ、逃げんなこの野郎!」
「沼淵! 生き残りを各個撃破していく。まずはあのおかっぱを挟み打ちだ!」

「済まんなー烏丸。おいの足じゃ逃げ切れんしよ、ここで諦めるか」
 下で支えている西本の言葉が届かなかったのか、標的になった烏丸は微動だにしない。
そしてそのまま沼淵と呼ばれた2−Dの生徒にハチマキを奪われてしまう。
それでも変化のない烏丸の表情。しかし、その手には沼淵のハチマキが握られていた。
「なっ!? 一体いつの間に?」

「まだ一人やられただけだ! 次は少々心苦しいがあの大和撫子に退場願おう!」
「ほへ? ひょっとしてそれって私のこと? 逃げなくちゃ冬木くん!」
「ちょっと塚本さん、そんな急に上で暴れないで! バランスが崩れ…… あぁぁぁ!」
 崩れた拍子に背後からハチマキを狙っていた騎馬一つを巻き込んで、結果的には相討ち。
「いたたた…… ごめんねー、2−Dのひと」

「ねえ船橋くん、ここで私にハチマキを取らせてくれたらデートしてあげても……」
「え、デート! 愛理ちゃんとかい? うーん、どうしようかな……」
 こちらは試合中に怪しげな交渉を行う沢近。が、その最中に沢近の右手が疾る。
「なーん嘘よ! 私は変わったの。もう軽い女だなんて誰にも言わせないわ!」
 騙し技一本。沢近の手首に3本目のハチマキが飾られる。
が、その直後金色の疾風が沢近の頭にあったハチマキを奪っていた。
「試合中に巧言令色に乗るバカがいるか! 主力が私ともう一騎だけじゃないか!」
「よし、今ならあの金髪本人も狙える! 行くぞ周防!」
「その前に、さっきまでさんざ苦労させられたこいつも倒す!」
 手をめいっぱい伸ばして、ハリーの四方を固めていた最後の一騎からハチマキを奪い取る。
が、その美琴の「外側へめいっぱい手を伸ばす行為」が良くなかったらしい。
超人ではない後列の2人が負荷に耐え切れず、クラス内最強の騎馬は、あっさり潰れた。

128 名前:Necrophobia 8/9 :04/03/18 06:25 ID:1vSQ3rkY
 結果的に残ったのはハリーの騎馬と今鳥(播磨)の騎馬のみ。全校生徒の視線が集まる。
「無、無敵の陣形が…… 仕方あるまい! 私の力、思う存分味わうがいい!」  
「おい播磨、さすがにあんな完璧超人とタイマン勝負じゃ勝てる気しねーよ」
「安心しな今鳥。負けそうになったらお前をあいつらに投げ飛ばして相討ちにしてやる」
「うわ…… 俺に助かる選択肢はないってわけかよ……」
「が、頑張って下さいね、今鳥さん。私も応援してますから」

 あとは真っ向から一対一の勝負をするだけなので、先に功労者に声をかけてゆく播磨。
「お嬢! お前のパパさん、何度動物たちに占ってもらってもやっぱり好物はカレーだ!
少しくらい下手でもいいじゃねえか。愛情込めて自分で作ってやんな!」
「……あいつ、そこまで真面目に占ってくれてたの?」
「それから周防! 花井の野郎を尻に敷くのはもうちょい先のことにしといてやれ!
早くどいてやらねーと、そろそろ息ができてるかどうかも怪しいぞ!」
「さ、先のことってあのなぁ…… って、どく? ……あ゛」
 崩れてからそのまま、地面だと思って座っていた場所に花井がいた。急いで飛び退く。 
「でもって天… 塚本! 敵だったクラスも心配してやるその優しさ、感動したぜ!
いつまでもそんな優しさを持った女性でいてくれ!」
「もー、播磨くんったらおせじが上手いんだから…… はっ! お猿さん再び?」
「ついでに烏丸! お前とも一度勝負をつけなくちゃいけねえが、それは後だ!  
すぐにでも同じ舞台に上りつめてみせるから、それまで待ってやがれ!」
「…………」

【ぬすむ】 ―――けんじのよろいをぬすんだ

「あれ? 烏丸くん、今何かしなかった?」
「愛理にはわからなくて当然ね。『お約束』だから気にしなくていいわ」
「はぁ? 晶ってときどきワケわかんないこと言うわね」

「もう済んだかね? 似た名前は目障りだ! 消えろ! 播磨拳児」
「それは、こっちの台詞だぜ!」

129 名前:Necrophobia 9/9 :04/03/18 06:25 ID:1vSQ3rkY
「で、カッコつけといてこのざまね。あんたにちょっとでも期待した私が馬鹿だったわ」
「るせぇ! 俺だってそんなルールがあるなんて知らなかったんだよ!」

 直接対決の結果は多くの観衆が予想しえなかったものであった。
【どうぶつ】―――むささび に一瞬気を取られて隙ができたハリーを相手に、
子供の頃スカートめくりで鍛えたといわれる今鳥の閃光の右腕がハチマキを奪取。
値千金の勝利かと思われたものの、一分後のアナウンスが非情な結論を述べた。
『ただいまの勝負、2−C側の騎馬が開始時に騎馬を組めていなかったため失格です』

「試合には負けちゃったけど、勝負には勝ってるんだからそうカッカしなくても……」
「そうだよな。塚本の言う通り! 今鳥も播磨もよくやってくれたじゃねーか。
そりゃ、ポイントで逆転されちまったのは痛いけどさ。午後から取り戻せば済む話だろ?」
「あ、ミコちん俺のこと誉めてくれるの? だったらその大きな」
「調子に乗るな」
 最後まで言い終わらないうちに拳骨を浴びる今鳥。

「さて、もうお昼休みだしみんなもおなかすいてるよね! お弁当にしよっか!」
「そうは言っても塚本。あたしには手ぶらにしか見えねーぞ?」
「ふふーん。今日は八雲がお重箱に詰めて持ってきてるんだもんね。みんなで食べよ?」
「うちもシェフが張り切っちゃって。こんなに沢山女の子だけで食べきれるかしら」
「じゃあ、クラスの男子でも呼ぼうか。播磨くん、ちょっと」
「ん、何だ?」
「ちょっと晶! なんでよりにもよってこんな奴を呼んでるのよ!」
「たくさん食べそうだったから、残飯処理としては完璧だと思っんだけど」
「なにげに失礼な奴だな、てめえ。でもすげえ美味そうなんだよなー」
「ふーん。ちょっとだけなら分けてあげてもいいけど?」
「いや、お嬢のなんてどうでもいい。妹さんが今持ってきて開けた重箱の中身がな」
「ちょっとそこに座りなさい。……ほら、あーんして。これでもどうでもいいとか言える?」 
 いたくプライドを傷つけられた沢近の、周囲が全く見えていないとしか思えない反応。
せっかく天満と一緒のお昼に誘われたのに、今日も播磨は天満に近づけないらしい。
《おわり》

130 名前:120 :04/03/18 06:26 ID:1vSQ3rkY
実は行数制限未確認。最大30行だと仮定して削った部分もちらほら。

「けんじのこて」というどうしようもないダジャレを思い付いたのが最初で、
そこから播磨のギルガメッシュ化・敵役としてハリーを構想という流れ。
タイトルも当該ゲームの中ボスの名前なので物騒極まりない意味だったり。
ネタに至る過程が長くなりすぎたのと、花井がいいとこなしだった事が反省点です。

なお、このSSに隣子が登場した証拠はありません(笑)

131 名前:Classical名無しさん :04/03/18 06:50 ID:Hnoq9RnM
けんじのよろいをぬすんだでワロタ

132 名前:Classical名無しさん :04/03/18 07:17 ID:7o.IaCSY
あの懐かしいムササビの滑空が脳裏に浮かんだYO

133 名前:Classical名無しさん :04/03/18 10:42 ID:JZmhiykM
おいおい、数日留守にしただけで何本のSSが投下されてんのかと。

134 名前:Classical名無しさん :04/03/18 12:46 ID:qWTM3Kjg
ワラタ、かなりワラタ

「けんじのよろい」がサイコー

135 名前:Classical名無しさん :04/03/18 14:21 ID:NajGwtfE
>>119
いい話だが、猫の件はそもそも花井が悪いんじゃ・・・と思ってしまう。

136 名前:Classical名無しさん :04/03/18 16:36 ID:dWuvG/ko
>>120
ギルガメ○シュネタキタ━━━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━━━━!!!!
   n                n
 (ヨ )              ( E)
 / |    _、_     _、_    | ヽ
 \ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/ / good job!!
   \(uu     /     uu)/
    |      ∧     /

137 名前:Classical名無しさん :04/03/18 18:30 ID:qU0wDsjc
>>125
“メガネのひ弱そうな女”と一緒にいた、播磨の“なにか見慣れた感じのする女”キタ━━━━!

それはさておきGJ!話の展開具合と豊富な萌え材料に感服致しました。


138 名前:120 :04/03/18 20:46 ID:hatakeV2
清濁は併せ呑むものですよ、私。
読み返したときに台詞がわかりにくすぎて泣きたくなりました。
今週のマガジン読んでなかったからハリーがまともな言葉使ってるし……
(でもちゃんと「戦力の絶対的な云々」のセリフは間違えている)

>137
セリフも名前も出ていませんが、何か?(笑)
腕を掴んで「お前しかいないんだ!」は威力抜群だったかもしれません。

139 名前:Classical名無しさん :04/03/18 22:44 ID:EPQaHsOQ
オンドゥル終わらないでぇ・・・!!

140 名前:119 :04/03/19 00:22 ID:NLF5glp6
>>135

八雲だったら相手が悪くても、花井が事故ったという結果で謝るんじゃないかな?
とオモタんであんな感じにしてみました


しかし、やっぱ縦笛は萌える
また書いてみます。駄作だろうけどw

141 名前:Classical名無しさん :04/03/19 12:38 ID:qWTM3Kjg
>139 どゆこと?

142 名前:Classical名無しさん :04/03/19 17:03 ID:xfSdYWgI
>>139
あのクソ寒い駄文なら別のトコでやってるよ。
あいつと奈良厨はマジでうざい。

143 名前:52 :04/03/19 18:12 ID:KE6l.l.U
ちょっと留守にしてる間に、凄い勢いで伸びてる……。
活気があっていい感じですね。自分も負けないようにがんばっていきたいです。


あと>>60氏、心配してくださってありがとうございます。
実はまた身体をおかしくしまして、再検査行ってきました。
結果は胃炎+風邪だということでとりあえず薬漬けの毎日ですw
だいぶ調子も良くなってきましたので、何とか大丈夫そうです。


最後に、4巻読んで一言。
笹倉先生のカードキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
生徒人気の高さと特選二回、そして体力の無さは予想範囲内でしたが
まさかリボ払いでくるとは……やられました。
でも、そんな浮世離れしたところも(・∀・)イイ!!


144 名前:Classical名無しさん :04/03/20 02:48 ID:RWY8HuLw
ここ書き込むの初にして即興で一つ

「まあいいわ、で許してあげる条件だけど・・・」
そこで沢近は少し言いよどみ
「今日一日私の下で働きなさい」
そして彼女の家であろう大きな屋敷の前でやっぱりおかしな事を言い出した。

「で今にいたるわけか、」
彼が着ているのは今まできていた学ランではなく使用人の着るであろう整ったスーツ
何着もその服は用意されていたのだが
「何でこの屋敷には誰もいねえんだ?」
そう屋敷の中にいるのは彼とこの館の主人の娘である彼女だけ
「いや、だから連れてこられたのか、全くわがままな」
「なんかいった?着替えたならこっちきなさい、早速仕事なんだから」
ぎくりとして振り返るとそこには彼同様制服から着替えた少女が立っている

そして連れてこられたのはその少女の自室
彼女がベッドサイドに歩いていくのに彼も続いて歩いていく
しかしおかしい、それは何がおかしいのか?気づいたときにはもう遅かった
彼女が振り返った瞬間、驚いた播磨には全く反応が出来なかったが
その少女の行動は世間で言うキスというものではなかったか
そしてもつれこむようにベッドに倒れこむ播磨
その時間はほんの数秒か数分か?それさえわからない混乱の中
ただ目の前の少女が潤んだ目でささやく

「噂だけじゃやなの、だけどあんたが本当は別のヤツを好きなのは知ってる、だから」
その少女は少なくとも彼、播磨拳児が知っているどの彼女とも違う
「仕事と思ってくれてもいい、だけど今だけは」
そんな呟きに彼は自分の理性が溶けていくのを感じ
ただ、――――その与えられた仕事に精を出した。

145 名前:Classical名無しさん :04/03/20 08:58 ID:WGDxYEXc
>>144
ムハー!続きをエロパロスレできぼんぬ!

146 名前:Classical名無しさん :04/03/20 14:20 ID:xvBQ9CvE
>>144
>その与えられた仕事に精を出した
ここが笑うところですか?

147 名前: ◆gCz2lNW6 :04/03/21 02:51 ID:QS18GZfU
現在屋上にて播磨がマンガのことについて相談中 
「ここでキスしちゃってもいーかな?」
「え!?」
なぜか驚く八雲
「えと……あのここでですか?そのキ、キスを?」
オロオロしながら播磨に対して質問する
「ああ、ここでだけどダメかな?」
播磨はソワソワしている八雲を見て少し不思議に思いながらも
あっさりとした口調で言う
その間八雲はというと顔をうつむかせて頬を赤く染め
上目遣いで播磨の顔をチラチラと盗み見る
「えと…その…播磨さんは本当に?」
「俺はそうしたいけどなー」
「しっ、したいいんですか!?」
(えと、どうしようこういう時って…)
八雲は校内でも美人で有名で告白も何度もされたが、さすがにキスしよ?
とわ言われたことがないのでとまどった。
しかも少なからず好意を抱いてる男の人に
「あの…その…でも、私まだ//」
播磨の顔をしっかり見て言った
「う〜ん、そうか、この二人には早いか…」
(この二人?…あれ?…あっ…//)
「あ…いや、今のは私の勘違いで、えと…この二人の場合はもう、その…キスをしても良いと思います」
この二人の場合はという言葉には引っかかるが混乱しながらも何とかその場を乗り切った
だが数秒後播磨お猿さん疑惑浮上!!

148 名前:お猿さん? :04/03/21 03:09 ID:QS18GZfU
「勘違い…?」
「ハ、ハイ…少し勘違いを…」
その時、播磨はサングラスをおもむろにはずし胸ポケットにそれを納めた
八雲からもその意外に澄んだキリッとした瞳が見えドキッとした
(きれいな瞳…でもなんでいきなりはずしたんだろ?)
すると突然思いもかけないことが
   ガシッ
両手で八雲の肩に勢いよくつかみかかってきたのだ
八雲は突然のことでビックリ
「勘違いじゃないな…」
(えっ!でもさっきのは私の勘違いで…マンガのことだと思ったんだけど…
でも播磨さんが私の肩を両手でつかんで…サングラスをはずして私を真剣な
表情で…どうしよう、いいのかな…?)
「あの、私…播磨さん…」
そして八雲は優しく目を閉じた    

149 名前: ◆gCz2lNW6 :04/03/21 03:30 ID:QS18GZfU
………
「んっ、播磨さん?あれ、私、確か屋上で…」
「ああそうなんだよ、やっぱり俺の勘違いじゃなかったみたいだな、カゼでしょ?きっと、途中から様子が気になって
サングラスをはずして確かめてみたら顔も真っ赤でさ、そしたら急に目を閉じたと思ったら眠りだしちゃったからさ、
それで今俺がおんぶして家まで送ってる最中なんだよ」
(え!…おんぶ…//)
やっぱり顔を赤くして
「播磨さん…あの、ありがとうございます」
播磨の耳元で礼を述べる。播磨も顔を赤くして照れている

そこで八雲はふとサングラスをとった時の播磨の顔を思い出した
「あの、そのサングラスっていつもかけているんですか?」
「これはちょっとした因縁があってな、これをかけてからは俺の素顔はほんの数人にしかみられてないな、
まあ、今回は特別ってやつだな」
「特別……ですか」

150 名前: ◆gCz2lNW6 :04/03/21 03:45 ID:QS18GZfU
「おっ、着いたな」
そう言うと八雲を背中から降ろし
「また、今度相談にのってくれよ?八雲ちゃん」
「え?あ、はい…あの、今名前で…私のこと」
「あ、いや、その、なんだ妹さんじゃちょっとあれかなと思ってよ、
それに寝言で…」
「寝言…?」
「あ、いやなんでもねえ、そろそろ俺も帰るは、それじゃあな」
「あ、はい、また明日」

その時、八雲に播磨の心が一瞬みえた、しかも八雲にとってものすごく恥ずかしい内容が

(う〜ん、寝言で俺にこれからは名前で呼んで欲しいって言ってたことは言わない方がいいんだよなこの場合)
八雲また顔が真っ赤に…(私、そんなこと…//)
(今日眠れるかな?…私)

151 名前: ◆gCz2lNW6 :04/03/21 03:50 ID:QS18GZfU
えっと初でした
ボケボケな二人という設定です
いろいろはしょりました


152 名前:Classical名無しさん :04/03/21 05:00 ID:YLPiRWFc
ゆっくり進んでいくさまを眺めておりました・・・イイね。
過激派の同志や旗派がオニギリに傾くのもわかる・・

153 名前:  :04/03/21 11:53 ID:En9jNKrU
なんか2人の世界って感じでほのぼのですねー  (*^ー゚)b グッジョブ!!

しかし本誌でもマガスペでもSSでも存在しなくなったサラは烏丸2世?

154 名前:I can not forget :04/03/21 14:23 ID:uCXsmHjA
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
道場に響くどんよりとした溜息が響く。今に始まったことではない、さっきから何度も何度も聞こえてくる。
「ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
落胆し続けている男、花井春樹。
理由はともかく播磨と八雲が「あいびき」していたことに多大なダメージを受けてるようなのだが・・・
「おーい春坊、なんかショックなことでもあったのか?」
「悩み事なら相談しねえと解決しないぞ。」
「ハナイー、元気出せー!」
周りの皆が声をかけるが、白一色になっている花井には上の空のようだ。
「周防、あいつ学校でなんかあったのか?」
埒があかないと思ったのか、彼らはそのまま美琴に話し掛けてくる。
「なんとなく理由はわかるよ。」
(塚本の妹さんがらみだな、きっと)
さすがは幼馴染、見抜いていた。花井が分かりやすすぎるだけなのかもしれないが。
「しっかし春坊があんな感じだと、やる気が出ねえなぁ。」
「いやはや、まったく。」
「そういう時は、これだろ?」
傍にいた中年の門下生がニヤッと笑いながら手で杯を作り、口許で傾ける仕草をする。
「おおっ、いいねぇ〜!」
「久々に行きますか!春坊を励ますためにも!」
盛り上がるおっさん達。やっぱりこの年代には酒好きが多いのか。


155 名前:I can not forget :04/03/21 14:24 ID:uCXsmHjA
「おいおい、花井は未成年だぜ?いいのかよ。それに師範も許さないだろうし」
たまらず話に加わる美琴。
「弥三郎にゃ、黙ってとくに決まってるだろ!」
「それに周防、お前親父の晩酌によく付き合ってるんだろ?そんなこと言えるのか?」
「うっ・・・・・・・・」
何も言い返せない、当たり前だ。事実なのだから。
「よぉし、じゃあお前も参加決定だ!」
「あ、あたしも行くのか!?」
「当たり前だろ、酒ってのは大勢で飲んだ方が楽しいからな!」
「でも、花井が行くと決まったわけじゃ――――」
「春坊は俺達の誘いを断らねえよ!」
本人の意向、まるで無視。
「よぉーし、決まりだ!楽しみだなぁ!!」
はっはっは、と笑いながら稽古に戻るおっさん連中。そんな彼らを見て美琴は
(ただ楽しく飲みたい理由が欲しかっただけなんじゃねえのか?)
と勘繰ってしまうのだった。


それから二時間後、商店街の一角にある少々古びた居酒屋を貸し切り、「春坊を慰める会 〜酒の力を借りればいいじゃないか!〜」は開始されていた。
(わ民じゃなくて良かった・・)
心の中でひっそり呟く美琴。
わ民―――――――――神津先輩に対する想いが終わりを告げた場所。行けば、また思い出してしまう。
あれから少々時も経ち、髪も切った。表面上は立ち直れたと思っている。
しかし、一年以上も心に留めておいた気持ちなのだ。そう簡単に踏ん切りをつけることなどできない。
ましてや忘れ去ることなど不可能だ。自分の力で過去の思い出にしていくしかない。
恋愛が苦手な美琴には難しいことではあるが・・・・



156 名前:I can not forget :04/03/21 14:26 ID:uCXsmHjA

「――――う、オイ周防。」
頭の端から聞こえてきた声に、美琴は我に返る。
「ゴ、ゴメン。えーっと、何だっけ?」
「なんかボーっとしてるみたいだったから、話し掛けただけだよ。それよりあっちに参加しねえのか?面白いことになってるぜ。」
「あっち・・?」
示された方向にいるのは、一応の今日の主役、花井。
酒が注がれると、それを一気で空け「これは・・・・・恋の味だぁーーーーーー!!」とかなんとか叫んでいる。
そんな花井の周りにいる連中は
「はっはっはっは!コイツは面白ぇ!」
「春坊がこんな酒に弱いとはなぁー」
と、口々に煽っている。いきなり日本酒から飲んでいるようだ、ありえねえ。
「あっちゃ〜〜、アイツもうできあがってんのか。」
美琴の言うとおり、花井はもう完全にブレイク状態だ。心の中を覗けば、八雲のことを「ヤクモン、ヤクモン!」とのたまっているに違いない。
見かねた美琴は花井の傍に席を移動させる。
「おい、花井!お前飲みすぎだぞ、その辺でやめとけって。」
「何ぃ、やはり僕も八雲君のために禿げにするべきなのか!?」
支離滅裂です、我らが2−Cの学級委員長。
「ううぅ、僕は・・・僕はどうすればいいんだぁーーーーーー!!」
その言葉とともに花井は、コップ一杯に入った酒を一気にグイッと開ける。
そしてそのまま、仰向けにバターンと倒れてしまった。花井、KO

○日本酒VS花井春樹●(決まり手:自爆)



157 名前:I can not forget :04/03/21 14:28 ID:uCXsmHjA

「あ〜あ、どうすんだよコイツ。」
倒れた花井の頭を小突きながら美琴がぼやく。
「おい春坊、もう潰れたのか!俺ゃまだ注いでねーぞ!?」
「いいじゃねーか、見てて面白かっただろ?」
「いーや、まだ見足りねえから起こせ!」
・・・どうやら花井を本当に心配しているのは美琴以外いないようだ。
やはりこの連中、飲みたい口実が欲しかっただけらしい。
(こいつらわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
拳を握り締め、一人、苦労を味わう美琴であった。

やがて宴もたけなわ、主役がいなくなっても問題が無くなったらしく、潰れた花井を放置して皆はそれぞれの机で盛り上がる。
美琴も話には加わっていたものの、花井の傍からは動かなかった。どうやらこの後も面倒をみるつもりのようだ。
(表面上は変わってても、本質は変わってないのかもな)
眼鏡がずれたままの花井の顔を見ながら美琴は思う。
昔はよくコイツの面倒を見たもんだ。もっとひ弱そうな顔立ちで、よく「ミコちゃん、ミコちゃん」って言いながらあたしの後をトコトコついてきてた。
困った奴、って思うことはよくあったけど、嫌だとか鬱陶しいと思ったことは一度も無かったな。今考えるとありえねえけど。
あたしの傍にいたせいか、だんだん口調も変わってきた。
背の高さもいつの間にか抜かれてたし、呼ばれ方も「ミコちゃん」から「周防」に変わってた。中学生の頃だったかな。
それに気付いた時、一抹の寂しさはあったけどやっぱり嬉しかった。
あたしがコイツをちゃんとした男にしたんだって実感があって。逆に頼れる時もあったりした、あたしが溺れた時にすぐ助けてくれたりとか。
・・・って、べ、別に変な意味で言ってるんじゃないからな!勘違いすんなよ!





158 名前:I can not forget :04/03/21 14:31 ID:uCXsmHjA
「じゃあ、今日はお疲れっしたーーー!!」
「おーい、春坊!帰るぞ、起きろ!」
「え?」
どうやら美琴が昔の思い出に浸っている間に飲み会は終わりを告げたらしい。
唯一潰れた花井を皆で起こしている。
すると、
「あたしが面倒見るよ。」
さっきまで思い出に耽っていた美琴は自然と口を開いた。
「皆、社会人だから明日仕事だろ?あたしは明日、土曜日だから学校休みだし。花井も自分で立てるみたいだから。」
そう答えるその顔は、笑ってるように見えた。
「おいおい、何言ってんだよ。そんな心配、無用だよ。」「水臭いな、そのくらい手伝うよ。」「一人じゃ大変だろ?」
そう口々に言うが、そんな皆の言葉を美琴は口許の笑みを絶やさぬまま首を横に振る。
髪が左右にサラっと揺れる様が、やけに女性らしく見えた。
「あたし一人で・・・コイツの面倒を見たいんだ。」
そう言いながら美琴は花井の腕を取り、肩を組ませる。そんな様子を周りは何も言わずに美琴の行動を見守った。こちらも笑みを湛えて。
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうとするか。」
そう言葉を返す。そしてそのまま花井の頭を軽くポンポン叩いて、話し掛けた。
「よかったなー、春坊。嫁の心配は無さそうだぞ。」
「なっ!?」
「これで道場の将来は安泰だな!」
「おっ、おい!」
「結婚式には呼んでくれよ?」
「ちょ、ちょっと待てって!」
急におかしな方向に向きだした話に、美琴は動揺を隠せない。



159 名前:I can not forget :04/03/21 14:34 ID:uCXsmHjA
「どうした、花嫁?」
誰もが先ほどと違った意地の悪そうな笑みを浮かべている。
「誰が花嫁だ!」
自分の顔が真っ赤になってることに美琴は気付いているのだろうか?
そんな様子に周りの連中は、更に笑みを深める。
「なんで急にそんな話になるんだよ!!」
「はっはっは、照れるな照れるな。」
「照れてなんかねえ!あぁ、もう!さっさと帰りやがれ!!」
その一言で、皆は蜘蛛の子を散らすように散らばり帰っていった。
「お幸せにー」なんて言葉も時折飛んでくるが、美琴はその一つ一つに「うるせー!」と言葉を返す。
やがて、とうとう二人きり。
「ったく、全員でからかいやがって。あたしとコイツはそんな関係じゃねえってーのに。おい花井、帰るぞ!ちゃんと歩けって!」
「う〜〜〜、八雲くん〜〜〜」
フラフラしながらもようやく二人も帰路についた。


(―――――――――――――よく考えたら、)
花井の家の前に着いて美琴は一つの不安に思い当たる。
(家にこんな状態になったコイツを連れて帰った時点で、師範にバレるんじゃねえのか?)
その考えは当然ながら、当たっているわけで。
インターホンを鳴らし、玄関の扉を開けると「春樹!?」とおばさんが血相を変えて出迎えた。



160 名前:I can not forget :04/03/21 14:36 ID:uCXsmHjA

(花井の奴、何も言わずに来たみたいだな。)
おばさんに飲み会でつぶされたことを説明する。
おじさ・・・じゃねえや、師範は奥から出てこない。きっと怒ってんだろうなあ。コイツ、明日は二、三時間は正座させられるんじゃねえか?
「美琴ちゃん、わざわざゴメンなさいね」と謝ってくるおばさんを制し、コイツの部屋へ連れて行く。
おばさんも手伝おうとしてたみたいだったけど遠慮してもらった。ここまで来たら、自分一人で面倒を見たかったから。

「よいしょっと。」
肩を組んでいた花井をベッドに寝かせる美琴。その拍子に、眼鏡が花井の顔からずり落ちた。
美琴は、その顔をまじまじと見つめる。
(眼鏡外して黙ってたら、ちったぁ格好良いんだけどなぁ)
眼鏡を外した状態の寝顔を見ながら、美琴は花井の外見の印象を頭に浮かべる。
分厚い眼鏡と変な髪形、そして熱すぎる性格が災いしているが顔立ちは悪くない。周りの女子生徒がそう噂しているのを何度か耳に挟んだこともある。
(損してるなぁ、コイツ)
そんなことを考えていると、花井の口が微かに動き出した。何か言葉を発するようだ。
「まぁーた、塚本の妹さんの名前でも呼ぶのか?おいっ。」
なんとなくおもしろくない気分になる。鼻でもつまんでやろうかと腕を動かす。
しかし、花井の口から放たれたの言葉は懐かしい響きだった。


「ミコちゃん・・・・・」


「・・・・・・・・・・。」
一瞬、花井の顔が随分幼く見えた気がした。花井だけじゃない、自分自身も子供になったような錯覚に陥った。
鼓動が少し、速くなる。




161 名前:I can not forget :04/03/21 14:38 ID:uCXsmHjA


「・・・・・・・・・。」
再びしゃべらなくなる花井。

「おい・・・・、急に何言い出すんだよっ。」
悪態をつきながら、寝ている花井の前髪をかきあげる。その行為が間違いだった、とは言わないが。
美琴の鼓動がトクンッとさっきよりも大きく跳ねた。
前髪をかきあげた彼の顔は幼馴染の彼女であっても、今まで一度も見たことのない表情だった。
普段の彼とはまるで別人に見える。それに、つい先ほどまでこの顔がとても幼く見えていたのだ。
先ほどから何一つ変化してない、花井の顔。しかし美琴にはそう見えなかった。
初めて花井を幼馴染ではなく、一人の男として意識したせいなのか。
もしかしたら、美琴も酔っていたのかもしれない。
神津先輩への気持ちを断ち切れてなかったこともあったのか、美琴は衝動的に考えるという行為を止めた。

――――――――――前髪をかきあげていた手を離し



――――――――――その腕をそのまま、花井の頬に添えさせる



――――――――――自分の顔を、ゆっくりと花井の顔に近づけて



―――――――――――――――――――――――――――――目を閉じた





162 名前:I can not forget :04/03/21 14:40 ID:uCXsmHjA


その間、美琴は無意識だった。そして距離があと10センチ程度となったその時、
「・・・ん・・・・?周防、どうした?」
「!!?」
意識を取り戻す花井。少々寝ぼけたまま、自分の目の前で両眼を閉じていた美琴に話し掛けた。常にタイミングの悪い男、花井春樹。

話し掛けられた美琴はズザザザザザザッと壁際まで後ずさり、これ以上ないくらい顔を赤くして言葉を失っている。口許を隠して。

「・・・・?一体どうしたんだ?おい、周防?」
「な、ななな、何でもねえよっ!!!お前、これからは無茶すんなよ!じゃあな!!!」
そういい残し、光のような速さで部屋を出て、玄関に向かい、靴を履き、家を出て行く。
「なんだったんだ・・・?」
思った疑問を口にする花井、そのまま考え込む。美琴は自分に何をしようとしていたのか。
眼を閉じて、顔を近づけてきていた。花井の知りうる限りでは、そんな動作を必要とする行為は一つしかない。
「まさか周防が僕に・・・?いや、しかし・・・」


一方、そのまま走って帰宅途中の美琴。
(なんで、あたしあんな事・・・・・)
さっきまでの自分の行為を思い出し、その先を考えようとしてまたハッ、となる。
「あーもう、忘れろあたしぃーーーーー!!」
言いながら、自分の髪をくしゃくしゃにする。


結局、この日は一睡もできなかった二人だった。




163 名前:I can not forget :04/03/21 14:42 ID:uCXsmHjA


――――――翌日の道場
弥三郎に命じられていた正座三時間を終えた花井は、昨日の疑問を解消するため美琴に話し掛ける。
「なあ、周防。」
「な、なな、なんだよ!お前と話すことなんて何もねえぞ!!」
「いや、昨日寝ていた僕に一体何をしようと―――――」
その先を言うことはできなかった。美琴に襟首を掴まれ、物凄く恐い顔で睨まれたからだ。
その衝撃で、また眼鏡がずれる。
「・・・・・・・・忘れろ。」
「わ、分かった。も、もう聞かん。」
すると掴んでいた手を離し、花井に背を向けて離れていく。こんなによそよそしい態度の美琴は初めてだ。
そんな二人の様子に、昨日飲み会に参加したメンバーは全員、同じ考えにたどり着く。
(あの後、なにかあったな。)
まだまだからかうことができそうだ、と、またもや底意地の悪い笑みが浮かんでくる。

一方美琴は、どうやら、まだ気持ちを抑めることができていないご様子。
(ったく、なんであたしがこんなドキドキしなきゃいけないんだ!)
そう心の中で毒づきながら、ちら、と一瞬、花井の方を向く。



164 名前:I can not forget :04/03/21 14:43 ID:uCXsmHjA


そのタイミングが良かったと言うべきか、悪かったと言うべきかは分からないが


その時花井は、ずれていた眼鏡を一旦外し、その時邪魔になる前髪をかきあげ、またかけ直している最中だった。
(―――――!?)
それを見た美琴は、昨日のことをまた思い出してしまった。顔がまた赤くなる。
どうやら、本人が思っている以上に花井に対して敏感になってるようだ。
「先生ぇー、顔が赤くなってる。」
「熱でもあるのか?」
「無理は体によくないぞ!」
事情を知らない児童部の門下生達が話し掛けてくる。
それを「うるさい、なんでもなーーーーーーい!!」と一喝する美琴。

そんな様子の美琴を見て「やっぱり、あれは・・・・・」と、また勘繰ってしまう花井。


幼馴染によくある「友達以上、恋人未満」という関係は、どうやらこの二人にもあてはまるようだ。
それが「恋人」になるかどうかは分からないが・・・・

――終――




165 名前:I can not forget :04/03/21 14:47 ID:uCXsmHjA
以上です。

縦笛SSを立て続けに投下しましたが
前のSSと展開がよく似てることに今更気付いた
ワンパターンで非常にスマン

漏れにはSS書く才能がないな・・・・・_| ̄|○

166 名前:Classical名無しさん :04/03/21 15:00 ID:ZWaB2s.A
>>154-164
イイヨイイヨー!!
この2人は数年後マジで結婚すると俺も思ってます故。
(高校時代の友人があらかた所帯持ってからでしょうけど・・)

167 名前:Classical名無しさん :04/03/21 15:18 ID:JZmhiykM
イイネ!!良い仕事してくださるSS職人様だ!
晶(等の第三者)が絡まないと萌え展開にならない沢×播SSに対して、
この二人はピンでできますからねえ。


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